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» 2016年08月09日 11時30分 公開

5G実現へ検討される新たな周波数帯と変調方式計測器メーカーから見た5G(2)(2/4 ページ)

[Taro Eichler(Rohde & Schwarz),EDN Japan]

伝搬モデルとチャンネルサウンディング

 センチ波、ミリ波帯を用いる5Gシステムの規格化と設計を成功に導くには、モバイル無線チャンネルをより深く理解することが必要となる。これまで移動体通信用途として利用されていなかった周波数帯における無線チャンネルの時間的、空間的な性質は依然としてモデル化することが困難である。

 伝搬時に生じるパスロスはもちろんのこと、障害物や時間変動するマルチパスから生じる反射、回折、散乱などフェージングはより複雑である。また、受信機が移動する場合(新幹線など)に生じるドップラーシフトも考慮する必要がある。

 高い周波数帯では、人体の水分により電波が吸収され伝搬できなくなる。そのため、ユーザーが端末を持つ位置にアンテナがあった場合、通信ができなくなるなどの問題が生じてしまう。つまり、アンテナを端末のどの位置に搭載するかも重要になる。

チャネルサウンディング評価セットアップ例 (クリックで拡大)

 無線システムのパフォーマンスを左右する無線チャンネルをモデル化することは、システム、アルゴリズム、アンテナ設計などの基本要素である。そのため、信頼性の高いチャンネルモデルを確立することが、実環境で利用する無線システム設計になくてはならない。5Gは新たな周波数の利用だけでなく、ビームフォーミングやMassive MIMO(大規模MIMO)のようなマルチアンテナを搭載したシステム導入が検討されている。

 これらの新しい技術の影響を含めたチャンネルモデルを明らかにすることは容易でない。しかし、5Gに最適な周波数帯と変調方式を採用するためには、マルチパスや高速移動による影響、アンテナの搭載箇所による影響などを明らかにすることが重要だ。そして、2020年の商用化に向け、継続した研究による伝搬環境の確立が求められる。

検討されている新しい変調方式

 5Gの要件実現に向けて、周波数の利用効率の向上や、低遅延などを可能とする新たな変調方式の導入が検討されている。LTE/LTE-Advancedで利用されているOFDM方式では、5Gで検討されている全ての要件を満たすことが難しいからだ。

 OFDM方式では、マルチパスに強い利点を持つが、時間領域におけるシンボル間の干渉を回避するために、ガードインターバル(サイクリックプレフィックス)が導入される。ガードインターバルにより、周波数の利用効率が低下してしまう。

 また、OFDM方式は、複数のユーザーがいくつかのサブキャリアの集合を使用し、個別にアクセスする。どのユーザーが、どのリソースを使用するかを基地局側で1ミリ秒ごとにスケジューリングして使用するため、1ミリ秒以下の遅延を実現することができない。

各変調方式におけるフィルタリングのイメージ (クリックで拡大)

 5Gで利用する新たな変調方式の候補は、このような課題を改善することを前提に検討されている。新たな変調方式では、周波数利用効率向上、低遅延を実現するためのOFDM方式とは異なる方法の1つとして、フィルタリングが挙げられる。OFDM方式では、全バンド幅に対して1つのフィルターを用いる。新たな変調方式の1つであるFBMCでは、サブキャリアごとに個々のフィルターを利用する。UFMC方式では、サブバンドごとに個別のフィルターを利用する。これにより、帯域外発射の軽減が可能になっている。

OFDM方式 (クリックで拡大)

 しかし、どの変調方式が5Gで採用されるのかを明言することはできない。なぜならば、変調方式ごとに、さまざまな優れた点と課題優劣があるからである。

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