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連動しないインターフォンをつなぐ回路を考えたWired, Weird(2/3 ページ)

» 2016年10月13日 11時30分 公開

連動するものの……、鳴る時間が短い

 しかし、玄関のスイッチ操作時間が短いと書斎の子機の音が鳴る時間が短くなって、呼び出し音を聞き逃してしまう可能性がありそうだった。玄関のスイッチが短い時間で操作されても、子機の呼び出し音が長く鳴るようにした方がよさそうだ。

「2端子タイマー回路」で対策

 そこで以前に紹介した「2端子タイマー回路」*)を使うことにした。玄関のスイッチの操作時間に関係なく、出力の動作時間を長くして書斎の呼び出し音を長くするように工夫した。図2の回路でトランジスタQ1に並列に2端子タイマー回路を入れても良いが、消費電流を減らし、全体の回路の部品も減らすようにもう少し工夫した。改善した回路図を図3に示す。

*)参考記事:これも便利!! 負荷を一定時間動作させる「シリアルタイマー」

図3:改良版インターフォン連動回路の回路図

 図3の回路動作を説明しよう。通常は玄関スイッチ側のコネクターにDC5.3Vがかかっているので、抵抗R3とダイオードD1を通してコンデンサーC1が充電される。コンデンサーC1は短時間で充電され、通常、電流は消費されない。玄関のインターフォンスイッチが押されると端子間が低抵抗で短絡され、コンデンサーC1はフォトカプラPC2のLEDと100Ωの抵抗R3を通して放電する。コンデンサーC1の放電の瞬間にフォトカプラPC2の出力は短時間オンする。

 子機側のコネクターにはDC5.1Vがかかっており、ダイオードD2を通してコンデンサーC2は充電されている。玄関のスイッチ操作でフォトカプラPC2が短時間オンするとこの信号を受けてトランジスタQ2は抵抗R5を通してベース電流が流れオンする。このときコレクタ電位が上がり、トランジスタQ3のゲート電圧が高くなりQ3がオンする。Q3がオンすると子機の呼び出し音が鳴る。PC2はすぐにオフになるが、Q3を通してQ2のベース電流が流れ、Q3はオン状態を維持し、呼び出し音は鳴り続ける。約4秒後にC1の放電が終わってQ3はオフし、呼び出し音が止まる。

 小型の基板に図3の回路部品を実装してみた。図4に示す。

図4:改良版インターフォン連動回路基板 左が部品面、右がハンダ面 (クリックで拡大)

 図4の部品面には入力側のディスクリート部品、ハンダ面側はタイマーの表面実装部品を実装した。作った基板は12.5mm角の小型でインターフォンの裏のスペースに実装できた。

 玄関のインターフォンの端子間を連動基板の入力端子を接続し、出力端子に約2mの配線を接続して、書斎用のインターフォンに接続した。玄関のインターフォンのスイッチを押すとリビングの親機の『ピンポーン』という呼び出し音と同時に書斎の子機が『ルルルルルルル』と長い呼び出し音で鳴った。玄関のスイッチを短時間で操作しても子機の呼び出し音は4秒程度と長く、設計通りに動作した。これだけ書斎での呼び出し音が長くなれば聞き逃すことはないだろう。

 なお、タイマーの設定時間は、以下の計算式で表される。

T=C*R*ln(Vcc/Vth)
C:4.7uF
R:0.5MΩ

 「Vcc=5.1V、Vth=0.8V」を計算式に入れると「T=4.35秒」になり、実測値とほぼ一致した。

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