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» 2016年10月27日 11時30分 公開

DDICによる最適化:車載ディスプレイに魅力的な選択肢を与えるには (2/3)

[Kevin Barber(Synaptics),EDN Japan]

コントラスト最適化

 自動車用のリアビュー・イメージセンサーは、夜間の作動時、後方車両のヘッドライトによって頻繁に、強く照らされることになる。また、イメージセンサーに差し込む夕暮れや夜明けの直射日光が、支配的な光源になる可能性もある。

 この状態が補正されなければ、ディスプレイに映し出される画像のグレアによって、見る人の目がくらんでしまう。画像のある部分が明るく照らされると、その部分が表示画像全体に影響を及ぼすようになり、その結果、画像の暗い部分は実際よりも相対的に暗く表示され、その部分のコンテンツが不鮮明になる。

 従来のDDICは、輝度を落とすことによってこの問題を改善しようとしている。リアビュー・イメージセンサーにヘッドライトの光が差し込んだ場合、ヘッドライトの画像が事前に設定されている輝度の閾値を超えたと認識し、輝度を全体的に落とす。この動作によって、画像の中の光が当たっていない部分がより暗くなり、その部分に含まれる物体の識別がより困難になるという、望ましくない結果になってしまうのだ。

 これは単に望ましくないだけではない。ドライバーの観点からすると、視界に入る物体が見えなくなるため、ディスプレイは事実上その機能を果たしていない。さらに、そのような画像が危険を及ぼす可能性すらある。例えば、後進する自動車の進路にいる歩行者が、画像の暗い部分にいた場合、その姿は見えなくなってしまう。

左=従来の全体的なコントラスト最適化により補正された画像/右=ローカルエリア自動コントラスト最適化による補正された画像 (クリックで拡大)

 このような問題に対処するため、選択的コントラスト最適化技術が開発されている。同技術をローカルエリア自動コントラスト最適化(LAACO:Local Area Automatic Contrast Optimisation)と呼ぶ。LAACOは、単にディスプレイ全体で輝度を調整するのではなく、ピクセル単位でコントラストを調整する。つまり、画像の強く光が当たる部分の輝度を落とすと同時に、暗い部分の明るさを増やすのだ。これにより、あらゆる状況で視界が快適になるとともに、画像の暗い部分の物体が見えやすくなる。

 DDICでは、LAACOがCABC(Content Adaptive Backlight Control)と組み合わされているケースもある。CABCは、表示画像における各領域の相対的な明るさや暗さに比例して、ディスプレイのバックライトLEDの明るさを段階的に落とす技術である。

 これにより、画像が見えやすくなると同時に、LEDの消費電流を抑える効果もある。消費電流を低減することで、ディスプレイ背後の密閉空間に熱がたまりにくくなるため、アセンブリ全体の動作環境が改善され、耐用年数の延長にもつながる。

カラーエンハンスメントとチューニング

 画像の最適化は、カラーレンダリングにおいてもメリットがある。自動車に搭載されているディスプレイやDDICの仕様は、安定した動作や優れた耐用年数、低コストに重点を置いている。つまり、個別に色相だけを精密に制御することは、これまで主要な要件ではなかった。

 CIDでイメージセンサーの信号がレンダリングされる際、画質はある程度低下するため、魅力を失ってしまう。スマートフォンやタブレット端末でレンダリングされる色彩豊かな画像に比べるとその傾向は顕著で、自動車メーカーの観点からすると望ましくない。しかし、この問題も、DDICにカラーエンハンスメントを実装することで対処できる。

 従来の色相の制御は、3つの軸(RGB)で行われている。ディスプレイ全体が赤みを帯びたり、緑みを帯びたりするように、それぞれの色相をシフトできる。

 仮に色相シフトが、画像をより赤くするように設定されていると、赤の色相がより深く、濃くなる。しかし、この場合は緑にも赤みが帯びてしまう。つまり、緑色の物体のレンダリング精度が低下し、画像の色が損なわれてしまうのだ。

左=全体的にカラーエンハンスメントが行われたブドウやメロンは赤みを帯びている/右=DDICによるカラーエンハンスメント (クリックで拡大)

 この場合も、色相を個別で精密に制御することで問題を解消できる。DDICによるカラーエンハンスメントでは、各色相(RGB+CMY)が個別に調整される。上記のような赤みを帯びた画像では、赤色はより赤く処理されるが、緑色の色相も個別にシフトされ、より緑に処理される。これにより、画像がより色彩豊かに、鮮やかに表示できる。

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