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PWM制御ICで高電圧からLEDを駆動するDesign Ideas ディスプレイとドライバ(2/2 ページ)

» 2016年11月22日 11時00分 公開
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コイルのインダクタンス値の求め方

 コイルのインダクタンス値は次のようにして求めればよい。PWMコントローラーのオフ時間はtOFF=L1(ΔI/VFTOTAL)、オン時間はtON=L1(ΔI/VIN)で与えられる。ここでΔIはL1に流れるリップル電流、VFTOTALは前述のリセット電圧、VINは直流入力電圧である。回路は連続電流モードで動作するため、オン時間とオフ時間を合計した値からPWMコントローラーICのスイッチング周波数が求められる。すなわちスイッチング周波数をfSとすれば、L1(ΔI/VFTOTAL)+L1(ΔI/VIN)=1/fSという式が成り立つ。この式から、L1=(1/fS)[(VFTOTAL×VIN)/(VFTOTAL+VIN)](1/ΔI)と求められる。

図2:LED駆動回路の信号波形例 (クリックで拡大)
試作したLED駆動回路の信号波形の例である。比較的低い直流電圧入力で動作させた。

 今回PWMコントローラーICとして採用したNCP1200Aは、スイッチング周波数の異なる数品種が用意されている。例えば、スイッチング周波数が60kHzの品種(NCP1200AP60)ではスイッチング周期は16.66マイクロ秒になる。ここで直流入力電圧を380V、リップル電流を20mAppとすれば、コイルのインダクタンス値L1=16.66マイクロ秒×11.6V×50A=9.6mHと求められる。

 さらに、このインダクタンス値をPWMコントローラーICのオン時間を求める式に代入すれば、最短オン時間が計算できる。すなわちtON=9.6mH×0.02A/380V=505ナノ秒となる。この結果、最短オン時間がLEDの応答可能な最短時間(400ナノ秒)よりも長いことが確認できた。図2は、図1のLED駆動回路を比較的低い直流電圧入力で動作させた場合の信号波形例である。

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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事の中から200本を厳選し、5つのカテゴリに分けて収録した。

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