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» 2017年01月13日 11時00分 公開

モバイル分光計を可能にする2次元MEMSアレイデジタルマイクロミラーデバイス(2/2 ページ)

[Mike Walker(Texas Instruments)/Hakki Refai(Optecks),EDN]
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単一検出器のアーキテクチャがノイズを抑制

 現在のリニアアレイをベースとした分光計は、主に2つの理由で性能が制限されます。その1つは検出器の波長選択がピクセルアパーチャーによって制約を受けるということです。検出器のサイズによって、収集される光量が決まり、SNRが制限を受けます。代表的なインジウム−ガリウム−ヒ素(InGaAs)の256ピクセルのリニアアレイのサイズは50×500μmです。一方、DMDアレイは完全にプログラマブルのマトリクスを提供することから、アプリケーションに対応して列の本数とスキャン手法を設定できます。このことで、通常、DMDとともに使用される、より大きな1mmや2mmの単一ポイント検出器に、より高い強度の信号を入力できます。通常、50μmのピクセル幅を持つリニアアレイに、フィルターを通した狭い帯域の光を入力することで、クロストークの問題も発生します。読み取り時には、ピクセル間の干渉が大きなノイズ源となることがあります。単一検出器のアーキテクチャでは、このようなピクセル間の干渉はありません。また、デジタルマイクロミラーの1kHz〜4kHzの高速スキャンの利点を活用することで、単一ポイント検出器でも、並行マルチポイントサンプリングと同様の滞留時間が可能です。これらによって、MEMS(DMD)をベースとしたコンパクトな分光エンジンでは、1万対1を超えるSNRが得られています。

モバイル分光計の心臓部となる小型、高分解能の2D MEMSアレイ

 最大限の性能を可能にするため、光を検出器へ反射するために使用するMEMSの総面積を検討し、利用可能な単一ポイント検出器のアパーチャーサイズと合致させることが必要です。

 5.4μmのマイクロミラー、40万ピクセルを利用可能で、700nm〜2500nmの波長に最適化されたDMDデバイス(「DLP2010NIR」など)が供給されています。こうしたDMDは、TRPと呼ばれる新しいピクセルアーキテクチャを搭載しています。例えば、DLP2010NIRのピクセルは図1に示すように17度の傾斜角度になっています。17度のオン/オフ角度を活用した光学経路は、迷光を最小限としたコンパクトな光エンジンで高性能のセンシングソリューションを可能にします。

図1:17度の傾斜角を持つマイクロミラー構造

 分光計用途向けの光エンジンの様子を、図2に示します。このシステムは、光経路全体に渡って信号を最適化します。サンプルからの反射光はDMD上に結像され、各波長の空間的な制御を可能にしています。DLP2010NIRの評価モジュールは高効率のMEMSを分光計用の高速2Dフィルターとして使用し、設計上の利点を提供する目的で供給されました。このモジュールは研究室の外の、計測が必要なフィールドや対象の場所まで携行可能で、直接の分光計測を可能にする、コンパクト、堅ろう、かつ高い適合性のシステムです。同一デバイスで透過用と反射用の計測ヘッドを交換でき、従来の分光計よりも高い性能を可能にします。

図2:DMDと単一ポイント検出器を使った分光計用の光エンジン

 DMDを活用する分光計の光エンジン向けに、やや異なる動作を提供する数種類の発光モジュールも用意されています。透過モジュールでは、光源、キュベットホルダー、精密キュベットや追加のマウント用ハードウェアを使い、透過サンプルの吸収と散乱の特性を計測します。NIRによる透過計測は、水分やジュース中に存在する気体成分などの液体サンプルに対して使用可能です。測定データから、ジュースの原産地などに関する多様な情報が得られます。固体サンプルについては、NIRの透過モジュールでプラスチック円筒の不透明度を計測可能です。これは気体や液体の供給ライン内の流れを測定するための重要なパラメータです。インラインの透過計測は、バターの製造時の水分の含有量も計測できることから、バターの製造プロセスを適時に調整し、時間の節約、コストの削減や、最終製品の品質向上に役立ちます。

 反射モジュールは、分光計の窓に直接接触しないサンプルの計測に使用します。例えば、プラスチックで包装した後に食肉の品質をモニタリングするなど、数センチの距離からスキャンできる柔軟性を提供します。NIRは皮膚からの拡散反射を使った血糖値の予測などの健康向け用途にも使用できます。

 光ファイバー結合のモジュールでは、1本の光ファイバー経由で透過と反射の両方の計測を行えます。このことで、産業用プロセスのモニタリング、容器間をつなぐ配管内の液体の水分の計測、鶏肉、牛肉や豚肉の脂肪やタンパク質の含有量の計測など、分光計とサンプルとの直接接触が実際的でない場合や不可能である場合にも計測が可能です。これらのモジュールは、分光計の適用範囲を大幅に拡大するほか、強化された計測性能を提供します。

 これまで述べてきたように、DMDを搭載した分光機器は、解析能力を拡張し、複数の物質の解析や、テスト、計測の能力を拡大します。これらの機器は、より高精度の性能、より高い分解能、柔軟性、堅ろう性を備えた、より小型のフォームファクターの光センシングソリューションを提供します。さらに、DMDを搭載した分光計は、従来の分光計システムでは実現できなかった、高い信頼性の測定機能を提供できます。ユーザーの目的が農場の作物に必要な水量の見積方法でも、食物の損傷の予測でも、分光計は一貫して、高精度のリアルタイム解析のための強力な手法を提供します。

参考情報
注1)Pruett, E., “Latest developments in Texas Instruments DLP Near infrared spectrometers enable the next generation of embedded compact, portable systems” SPIE 9482-13 April 2015

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