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電気的不良位置特定解析とSEM/SAM観察の基礎マイコン講座 不良解析編(2)(3/4 ページ)

» 2017年06月26日 11時00分 公開

その他の不良位置特定解析

レイアウト解析による位置特定

 図1(b)図2(b)を見ると分かるが、OBIRCHやEMMIの観測画像からでは、発光箇所周辺のレイアウトパターンを判別できない。OBIRCHやEMMIを使って分かるのは実際のダイの輪郭に対する相対的な不良箇所の位置だけで、不良箇所と電気回路の具体的な部所を直接関連付けることはできない。そこで、レイアウト図(設計データ)と、OBIRCHやEMMIの観測画像を重ね合わせて、電気回路上の不良部分を特定する。

図3:レイアウト解析による位置特定 (クリックで拡大)
(イメージ図、実際の回路ではない)

 図3ではOBIRCHの結果と、レイアウトパターン(設計データ)を重ね合わせている。これにより、レイアウトパターン上の不良箇所が特定される。レイアウトパターンの不良箇所が分かれば、そこから論理回路の不良箇所が特定できる。

レイアウト解析による位置特定の内容

この作業を行って、電気回路上の不良箇所の特定を行う。

光学顕微鏡およびSEMによる観察

 光学顕微鏡は倍率の高い一般的な顕微鏡のこと。大掛かりな装置ではないので、オフィスのデスク上などで手軽に観察できる。不良が比較的広い範囲で顕著に現れている場合は、光学顕微鏡でも不良箇所を見つけられる。OBIRCHやEMMIで不良箇所をある程度の範囲まで絞っておき、光学顕微鏡を使って観察すると、不良を見つけられる場合もある。手軽に使えるのは長所だが、被写界深度が浅く、ピントの合う範囲が非常に狭い。そのため、平面的な観測が主な用途で、立体的な観測には適さない。

 光学顕微鏡では、光の波長よりも短い物を観測することができない。そこで、ナノレベルの観測が必要な場合、光の代わりに波長の短い電子ビームを利用して観測するSEM(Scanning Electron Microscope)が使われる。SEMは電子顕微鏡の一種で走査型電子顕微鏡と訳される。電子ビームを試料に照射して、試料から放出される二次電子、反射電子(後方散乱電子、BSE)、透過電子、X線、カソードルミネッセンス(蛍光)、内部起電力などを検出することにより対象を観察する仕組みになっている。

 通常は二次電子像が利用される。主に試料表面の構造を微細に観察するときに用いられる。最大の長所は、広範囲にピントの合った立体的な像を得ることができるので、試料の外形を把握しやすい。

 図4に光学顕微鏡とSEMの画像を示す。SEMの画像は、全ての部分でピントが合っていることが分かる。

図4:光学顕微鏡とSEM (クリックで拡大)

光学顕微鏡による観測の内容

比較的広い範囲の外観検査なら、手軽に実施可能。

SEMによる観測の内容

光の波長よりも短い物を観測する場合に使用する。広範囲にピントの合った明瞭な画像で検査可能。

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