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» 2018年02月20日 11時00分 公開

アナログ回路設計:オペアンプのダイナミック応答の検討(2) タイプ2補償回路の伝達関数 (2/8)

[Christophe Basso(ON Semiconductor France SAS),EDN]

オペアンプに対応する簡単なSPICEモデル

 図2の周波数応答を模倣したSPICEモデルは簡単に作成できます。図3に示すように、このモデルは、トランスコンダクタンスがgmである電圧制御電流源G1と、その後段にある抵抗ROLを採用しており、並列コンデンサーC1を経由してグランドに接続されています。ROLの両端において、反転入力ピンVinvに対する伝達関数は単純に次の通り表現できます。

式2

 電圧バッファを追加し、抵抗R2とコンデンサーC2を通じて2番目の極を配置すると、次の通り必要な伝達関数を得ることができます。

式3

 部品の値はページの左側に自動的に設定され、シミュレーションを実行すると取得した振幅/位相の図が右側に表示されます。これは簡素化されたオペアンプモデルであり1次分析で使用できます。参考資料1で説明されているように、このモデルは後でアップグレードして電圧クランプやスルーレート回路などのより具体的な特性をモデル化できます。回路図にLoLとCoLが存在していることに注意してください。これらの部品が配置されているのは、部品が開ループとして動作した時に出力電圧を2.5Vに固定するためです。したがって、この図では電源電圧レールがないので、DCバイアスポイントを考慮することなく簡単なAC分析を実行することができました。

図3:簡単なSPICE回路を使用して、開ループゲインと2つの極を持つオペアンプモデルを構築できる

 ただし、電源電圧レールを含め、より包括的なモデルの応答を観察したい場合、この簡単な回路では、DC動作ポイントを手動で修正しようとした時に、ICのレール電圧を上昇または下降させることができません。シミュレーション開始時にLoLは短絡として扱われ、E3と電圧源Vrefを使用して動作ポイントを修正するのに役立ちます。CoLを通じて掃引が開始された後、LoLはE3からの変調を阻止し、動作ポイントを修正しようとする回路は休止状態になります。これは、平均的なモデルにより閉ループ・バイアスポイントを希望の出力値に確定させながら開ループゲイン分析を実行するのに用いる、従来の対処方法です。この簡単なSPICEモデルは今後の分析で得られる数学式を検証するのに役立ちます。

2極構成を持つタイプ2の補償回路

 この時点で、オペアンプに2つの付加的な極が存在していることが分かったので、第1部で当初使用していたスケッチを更新することができます。図4に、オペアンプの内部特性を含めて新しく形成されたタイプ2の補償回路を示します。

図4:オペアンプ内に存在する2つの極を説明する更新後の回路

 出力電圧VFBは、誤差電圧εにオペアンプの開ループ伝達関数を乗算した値です。

式4

 誤差電圧は、VoutとVFBを交代で0Vに設定して重ね合わせの理を使用して求められます。

式5

 式5式4に代入して式を整理すると、次の式が得られます。

式6

 ここで、Z1(s)は次の値に等しくなります。

式7

 高速分析手法を使用して簡単なステップでこの式を導いた方法については、本記事末にある付録を参照してください。

 この式は非常に扱いが面倒ですが、幸いMathcadにとっては問題ありません。この式のダイナミック特性とSPICEモデルのダイナミック特性を比較すると、この式が正しいかどうかを確認できます。以下の部品の値を想定しました。pF単位の値が小数部付きの値になっている点をご了承ください。

R1=3.8KΩ
Rlower=1KΩ
C1=1.79nF
C2=92.8pF
AOL=106dB
ωp1=5Hz
ωp2=2MHz

 タイプ2の構成を採用したSPICEの回路を図5に示します。

図5:タイプ2の全体的なSPICEモデルがオペアンプのダイナミック特性を説明するようになった。2.5Vの基準電圧Vref2がNINVピンにバイアスを供給している状況で、DCバイアスポイントが12Vに設定されていることに注意。

 図6で確認できるように、MathcadとSPICEの図で応答はほぼ同じであり、式の妥当性を検証できました。

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