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» 2018年02月20日 11時00分 公開

アナログ回路設計:オペアンプのダイナミック応答の検討(2) タイプ2補償回路の伝達関数 (3/8)

[Christophe Basso(ON Semiconductor France SAS),EDN]

特性の歪み

 図5のシミュレーションで採用した部品値は、10kHzのクロスオーバー周波数で20dBのゲインを達成し、65度の位相ブーストを構築することを意図したタイプ2の補償回路から得られたものです。第1部で紹介した式36で与えられる理想的なタイプ2の応答と、μA741(AOLは106dBで、5Hzと2MHzに配置された2つの極を持つ)を使用したタイプ2の回路の応答を比較した場合、図7に示すようにある程度の違いがあることが分かります。

図6:Mathcadで作成したプロットはSPICEで作成したプロットと完璧に重なっている

 この図から、10kHzの地点でわずかなゲインの偏差が存在し、20dBのターゲットを約2.2dB逸脱していることが分かります。実際のところ、大きな違いではありません。より重要なことは、理想的な式を使用した場合に期待した65度の位相ブーストです。10kHzの地点で、実際のオペアンプを採用した回路による位相ブーストはわずか44.6度であり、20.4度の差があります。最終的な位相マージンはこの量だけ小さくなります。

図7:μA741を使用したタイプ2の回路は、最大開ループゲイン地点ですでに位相ブーストに歪みが発生していることを示している

 その上、さらに望ましくない事態が存在します。データシートに記載されている開ループゲインの変動を考慮する場合、仮にAOLが83.5dBに低下すると、仕様の最小値はどうなるでしょうか。図8がその値を示しています。仕様では10kHz時に20dBのゲインですが、それより17dB低い値になり、位相ブーストは6.7度に低下しています。この最終値を目にすると、システムの安定性が問題になっている理由は説明する必要もないでしょう。図9に示すSPICEシミュレーションは、収集した3種類のプロットを同じグラフに図示し、これらのデータに歪みが生じていることを明らかにしています。開ループゲインの変動による悪影響が理解できます。

図8:オペアンプのデータシートに記載されているように、開ループゲインが83.5dBに低下した場合、位相ブーストはほぼ消失している

 ここでタイプ2の仕様を変更した場合、すなわち10kHzの地点で上記のような20dBのゲインが必要なく、fcの地点で10dBの減衰をターゲットとし、代わりに理想的な位相ブーストと同じ値の65度に近づけようとします。開ループゲインを低下させた結果、位相ブーストの歪みは先ほどより縮小しています(図10を参照)。

図9:オペアンプの開ループゲインを変更するとゲイン/位相に深刻な歪みが生じる
図10:同じ10kHzのクロスオーバー周波数で増幅ではなく10dBを減衰するようにタイプ2の回路を変更した場合でも、依然としてターゲットを達成できないがその差は縮小している

 この構成で達成される中域ゲインは−11dB(それに対しターゲットは−10dB)で、位相ブーストはどうにか49度を確保しています(ターゲットは65度)。

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