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» 2018年03月19日 11時00分 公開

オシロのジッタを伝送ラインループで校正Design Ideas 計測とテスト(2/2 ページ)

[EDN Japan]
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振幅雑音とジッタの関係

 インピーダンスの関係は、遅延パルスの波高値が最初のパルスと同じ値になるように設定した。パルス発生器は、50Ωの同軸ケーブルに1Vの信号を出力する。すなわちオシロスコープに対して、1Vの入力パルスを送信することになる。この入力パルスは、信号分岐点において、オシロスコープの50Ω終端とそれに並列接続した2つの50Ωケーブル(遅延ループ)に出会う。従って、信号分岐点におけるインピーダンスは16.7Ωで、反射係数は−0.5になる。

 このインピーダンス不整合により、オシロスコープに0.5Vの入力パルスが現れる。さらに−0.5Vの反射パルスがパルス発生器に戻り、そこで消滅する。これと同時に2つの0.5Vのパルスがそれぞれ逆向きに遅延ループを進行し、13ナノ秒後に再びオシロスコープで出会う。このとき信号源インピーダンスが25Ωで0.5Vの遅延パルスが形成される。50Ω入力のオシロスコープは、信号源に対して50Ωのケーブルと並列に接続されているため、25Ωの負荷と見なせる。すなわち、信号源のインピーダンスと整合が取れていることになる。

 エネルギーの移動を追跡することでも、この回路の動作を分析できる。1V出力のパルス発生器は、50Ωの同軸ケーブルに対して20mWの電力を持つパルスを出力する。このパルスがオシロスコープと遅延ループの分岐点に達すると、電力は4つに分かれる。パルス発生器に5mWの電力が戻り、そこで消滅する。オシロスコープにも5mWの電力が入力され消滅する。遅延ループの両端には、それぞれ5mWの電力が入力され、逆向きに進んでいく。この2つの5mWのパルスが再び遅延ループ上で出会ったときに、5mWの電力がオシロスコープに入力され、残りの5mWはパルス発生器に進み、消滅する。遅延ループのジッタは、ほぼゼロである。このためオシロスコープで計測されたジッタのほぼ全部がオシロスコープ自身で発生したものと見なせる。ただし、遅延ループ自身も振幅雑音によって発生する、ある量のジッタを持っている。遅延ループがないと考えた場合、振幅雑音はオシロスコープがトリガーをかける時間を早めたり遅めたりする。このようにして振幅雑音はジッタに変換される。次式が振幅雑音とジッタの関係式である。

 理想的なループを使えば、最初のパルスと遅延パルスは同一の形状になる。遅延パルスの振幅雑音は、最初のパルスの振幅雑音と形状が同じはずだ。従って、振幅雑音によるジッタはキャンセルされる。ところが、実際の遅延ループには伝送損失が存在する。このため遅延パルスの形状が最初のパルスと完全に等しくはない。従ってジッタが発生する。次式は、遅延ループを用いたときの振幅雑音とジッタの関係式である。

 パルス発生器の振幅雑音は250μVrms、dV/dtは0.35V/ナノ秒と仮定する。さらに遅延パルスの伝送損失は0.2とする。このとき振幅雑音とジッタの関係式は、以下のように計算できる。

 143フェムト秒という遅延ループジッタは、校正の対象となるオシロスコープのジッタ雑音フロアに比べると、はるかに小さい。このため遅延ループのジッタは、ゼロと見なしても構わない。

 デジタルオシロスコープのジッタは、時間幅設定とA-D変換器のダイナミックレンジによって決まる。このため実際のテストシステムやデバイスに合った信号振幅や遅延ループを使って、校正を行う必要がある。

Design Ideas〜回路設計アイデア集

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※本記事は、2008年7月29日にEDN Japan臨時増刊として発刊した「珠玉の電気回路200選」に掲載されたものです。著者の所属や社名、部品の品番などは掲載当時の情報ですので、あらかじめご了承ください。
「珠玉の電気回路200選」:EDN Japanの回路アイデア寄稿コラム「Design Ideas」を1冊にまとめたもの。2001〜2008年に掲載された記事から200本を厳選し、5つのカテゴリーに分けて収録した。

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