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アルミ電解コンデンサの容量低下を防ぐガラス封止技術が誕生高容量コンデンサ実現へ

ショットのDr. フランク・クロールが注目するのは、コンデンサにおける電解液の蒸発(ドライアップ)防止の重要性と、ガラス封止技術を利用した気密封止リッドを使うことの利点です。特に、アルミ電解コンデンサおよび電気二重層コンデンサ(スーパーキャパシタ、ウルトラキャパシタ)に応用する上で重要になります。

» 2018年06月27日 10時00分 公開
[PR/EDN Japan]
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 アルミ電解コンデンサは私たちの生活に広く利用されるようになり、効率的な利用を進めるべく進化と発展を続けています。また、電気二重層コンデンサ(スーパーキャパシタ、ウルトラキャパシタ)など、新たなコンデンサが次々と市場に投入されています。EVカー、HEVカー、電気バスなどの電気自動車や高出力用途の他、再生可能エネルギーにも応用され、さまざまな工業分野だけでなく、防衛や航空分野に至るまでその用途は広まっています。

 しかし、アルミ電解コンデンサには、耐用期間中に電解液が蒸発する傾向があり、それが弱点となっています。これは端子封止部の気密性が不完全なために発生します。電解液の蒸発は継続的に性能を低下させるため、コンデンサ設計の大型化や、コンデンサを1つではなく2つ使用するなどの対応策が採られています。持続的な電解液の蒸発が、20%以上の容量損失を招きます。これはスペース効率の観点から見ると大きな値です。

 コンデンサの端子は、樹脂封止もしくはゴム封止されることが多く、これが電解液を蒸発させる主な原因の1つになります。樹脂やゴムは有機材料であるため、時間の経過とともに劣化する傾向があり、気密性が失われます。この経年劣化が、アルミ電解コンデンサに悪影響を及ぼします。気密性が劣った封止部から電解液が蒸発し、その結果コンデンサ内部の容量損失が起こるのです。

気密封止による容量低下防止

 電解液の漏洩という問題を解決する鍵は、樹脂やゴムなどの有機化合物で作られた封止材を、経年劣化しないガラスなどの無機材料に置き換えることです。コンデンサの端子とアルミニウムによるリッド(蓋)を、ガラス封止材料で気密封止することで、コンデンサ内部からの電解液の蒸発を防ぐことができます。

 ガラスと金属の封止技術は、電気部品や電気化学部品に長年にわたり用いられている技術であり、車載用センサー、水晶発振器、塩化チオニルリチウムバッテリーなど、多くの市場向け部品に用いられる標準的なパッケージング技術になっています。

 ただし、コンデンサでは、ガラスと金属の封止技術はこれまでほとんど用いられてきませんでした。

 ガラスと金属で気密封止を行うには、ガラスに圧縮応力を加えて気密性を確保するか、ガラスと金属の熱膨張率を合わせ化学結合により気密封止を行う必要があります。しかしながら、熱膨張率の高い金属を封止できるガラスが存在せず、ガラスによる気密封止が行える金属材料はステンレスや鉄、コバールなどに限定されてきました。

 そのため、熱膨張率の高いアルミニウムをリッドや端子に使用するコンデンサでは、経年劣化しないガラスによる気密封止を適用したくても、できなかったのです。

 そうした中で、1939年から特殊ガラスやガラスと金属の封止技術を蓄積してきたショットは、アルミニウムや銅などの熱膨張率の高い金属を気密封止できるガラスや、それらを用いた気密端子製造の最適プロセスを開発することで、ガラスとアルミニウムで気密封止を実現する技術「GTAS」を開発しました。GTASは、エネルギー密度の高いコンデンサやバッテリーに対応できるよう特別に開発された新しい技術であり、このGTASを用いてアルミ電解コンデンサの電解液の蒸発を防ぐ「GTASコンデンサリッド」を提供しています。

アルミ電解コンデンサの電解液の蒸発を防ぐ「GTASコンデンサリッド」

 従来の有機材料による封止技術に代わり、ガラスとアルミニウムの封止技術であるGTASを用いることで、さまざまな利点が得られます。現在の市場で使用可能なガラスとアルミニウムの封止は、マイナス40℃から150℃の温度条件に対する耐久性を備えており、幅広い用途で使用できるようになっています。封止部の高い気密性が、より高容量でありながら同サイズ、または小型のコンデンサ設計を可能にします。経年劣化しない高信頼性のガラス封止により、コンデンサの保存期間の延長と寿命の向上、さらには電気抵抗値の改善に貢献します。

 GTASコンデンサリッドは、リードタイプ、アキシャルリードタイプ、スナップインタイプなど、小型から大型までの各種アルミ電解コンデンサに合わせカスタマイズすることができます。

GTASは、SCHOTT AGの商標です。

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アルミ電解コンデンサ用ガラス封止リッド 紹介ムービー

著者について

 ランツフートにあるショットAGの研究者 Dr. フランク・クロールは、ガラスと金属の封止技術と設計に関し、20年以上の経験を有しています。


お問い合わせ先
オートモーティブ・センサーグループ 営業セクション
小根澤 裕
Tel: 0748-63-6659
comp.sjc@schott.com

ショットについて

 ショットは、特殊ガラスやガラスセラミックの分野をリードする国際的なテクノロジーグループ企業です。ショットは130年以上にわたり、優れた研究開発や素材と技術の専門知識をもとに、多岐にわたる高品質な製品とインテリジェントソリューションを提供しています。ショットは、家電、医薬品、エレクトロニクス、光学、自動車ならびに航空など、さまざまな産業にイノベーションをもたらします。ショットは製品を通じてすべての人びとの暮らしのなかに息づき、イノベーションと持続可能な成功の実現に努めています。また、ショットは世界33カ国に製造・販売拠点を設置し、グローバルに事業を展開しています。現在の従業員数は約15,000人で、2017年度の売上高は約20億500万ユーロです。ショットグループの親会社であるショットAGは、ドイツ・マインツ市に本社を置き、カールツァイス財団がその株式の100%を所有しています。財団所有企業であるショットは、従業員、社会、環境に対する社会的責任を重視しています。www.schott.com

ショット日本株式会社について

 ショット日本株式会社は、ドイツに本社を置く国際的なテクノロジーグループ企業、ショットグループの100%子会社です。滋賀県の水口事業場と、東京の東京営業部に、合計約220人の従業員を擁しています。水口事業場では、精密な電子部品を保護する気密端子(ハーメチックシール)や、温度上昇を正確に検知し速やかに回路を遮断する温度ヒューズなどの電子部品を開発・製造・販売しています。これらの電子部品は、電子デバイス、家庭用電化製品、自動車、オプトエレクトロニクスなどのさまざまな用途に用いられています。また、東京営業部は、ショットグループのアジア初の販売子会社として1966年に設立され、結晶化ガラス、光学ガラス、薄板ガラス、管ガラスなどショット製品の日本市場での販売を担当しています。www.schott.com/japan/

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提供:SCHOTT AG
アイティメディア営業企画/制作:EDN Japan 編集部/掲載内容有効期限:2018年7月26日

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