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» 2018年09月03日 11時00分 公開

DC-DCコンバーター活用講座(23) 入力および出力フィルタリング(1):DC-DCコンバーターのバックリップル電流対策 (2/3)

[Steve Roberts(RECOM),EDN Japan]

バックリップル電流

 入力バックリップル電流はミリアンペア単位のピークツーピーク値(mAp-p)で表され、通常は公称入力電圧で全負荷時の値が使われます。しかし、フィルターするには、まずリップル電流を測定しなければなりません。

バックリップル電流の測定

 DMM電流計で入力電流を測定すれば、RMS値、ピーク値、または平均値が得られますが、脈動バックリップル電流の波形は分かりません。いずれにせよ、その結果は信頼性に欠けます。また、オシロスコープの電流クランプを使用して入力電流を測定しても、多くの場合、あまり良い結果は得られません。これは入力電流のDC成分が多いためで、ACリップル成分を正確に識別することができません。100MHz、10MBのオシロスコープを推奨します。

 この問題の解決法は、高精度の電流シャントを使用してそこにかかる電圧を測定し、電流を決定することです。しかし、この場合も注意が必要です。値の小さい一部の抵抗は巻線構造を採用しているため直列インダクタンスが非常に大きく、これが測定結果に影響します。これらの測定には、直列インダクタンスが極めて小さい(<0.1μH)シャント抵抗を使う必要があります。金属板抵抗はこの要求を満たすことができます。

図2:正しい測定方法 出典:RECOM

 ただし、測定では重大な誤りを犯しやすいので、測定手法自体も極めて重要です。第一に、コンバーターへの入力電圧に大きな影響を与えることがないよう、シャント抵抗の値を小さくする必要があります。0.1Ωのシャントを使用する場合は、一般に5mV/divのオシロスコープ設定でなければ50mAの電流を識別できません。第二に、プローブ接続は、放射干渉を拾わないように、できるだけ短くする必要があります。図2はシャント抵抗への正しいプローブの当て方、図3は正しい測定方法を用いた場合と、そうでない場合の読み取り値の違いを示しています。

図3:誤った測定方法(左)と正しい測定方法(右)による同じバックリップル電流の測定結果 出典:RECOM(クリックで拡大)

バックリップル電流対策

 バックリップル電流を減らす最も簡単な方法は、低ESRの電解コンデンサーかタンタルコンデンサーを、DC-DCコンバーターの入力ピン間に追加することです。このコンデンサーは、ラインインピーダンスを経由する1次電源よりはるかに低いインピーダンスで、リップル電流にエネルギーを供給します。従って1次電源は、入力電流のAC成分の大部分を入力電流のDC成分とコンデンサーに供給し、1次電源から流れ込むAC電流は大幅に減少します。概念を図4に示します。

図4:入力コンデンサーによるバックリップル電流の低減 出典:RECOM

 下に示すオシロスコープの波形データは、DC-DCコンバーターに入力コンデンサーを追加した場合の効果を示しています。これらの波形データは、1Ωのシャント抵抗を使用してオシロスコープ上の信号を拡大したものです。

図5:DC-DCコンバーターの入力端子間に47μFのコンデンサーを追加した場合の効果 出典:RECOM(クリックで拡大)

 バックリップル電流は、100kHzにおけるESR値が400mΩで容量47μFのコンデンサーを追加することによって、1/2以下になっています。ESRがわずか35mΩのより高価なコンデンサーを使用すると、リップルはオシロスコープでもほとんど測定できない程度になり、スイッチングノイズによる干渉スパイクだけが残ります。

 非常に高価な超低ESRのコンデンサーを使用する代わりに、2個の標準的なコンデンサーを並列に使用することもできます。例えば、1個の高品質な47μFコンデンサーは、ESRが230mΩで容量22μFの標準的コンデンサー2個に置き換えることができ、この場合はESRが115mΩ、容量44μFの等価コンデンサーが得られます(図6)。

図6:2個の並列入力コンデンサーによるバックリップル電流の低減 出典:RECOM

 低コストのコンデンサーを2個使用した場合のバックリップル電流に対する効果が、高価な超低ESRコンデンサーを使用した場合に比べて大きく劣ることはありません(図7)。

図7:超低ESRの47μFコンデンサーを使用した場合と、標準的な22μFコンデンサーを2個並列で使用した場合のリップル電流の比較 出典:RECOM(クリックで拡大)

 残る高周波電流スパイクは、コンバーターのスイッチングノイズから発生します。このノイズはVIN+端子とVIN−端子の両方に同時に現れるので、入力端子間に取り付けたコンデンサーでは除去できません。この形態の同相干渉には、同相入力チョーク(後述)が必要です。

 入力電圧が低い場合は、電解コンデンサーの代わりに積層セラミックコンデンサー(MLCC)を使用することができます。高品質なMLCCは100kHzでのESR値が3mΩ程度なので、バックリップル電流用コンデンサーに非常に適しています。推奨電圧より大きい入力電圧を加えると、内部的な放電が発生して致命的な損傷を招くことになるので注意が必要です。従って、MLCCを使用する場合は、必ず安定化された1次電源か、過電圧保護された電源を使用してください。

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