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» 2019年02月08日 10時00分 公開

Wired, Weird:海外からの部品調達で経験したトラブルとその対処 (2/3)

[山平豊(NSS九州),EDN Japan]

返品2)高額な基板が不良品……

 次は購買した高額な基板が動作不良で返却した事例だ。高額な基板とは大型の金属加工の装置に使われた可変速モーターのドライブ基板だ。事の始まりはこの基板の修理を依頼されたところからだ。写真を図2に示す。

図2:修理を依頼された可変速直流モーター用ドライブ基板

 図2は「VS505」という可変速の直流モーターのドライブ基板だ。基板の修理依頼を受け、ネットでマニュアルを探し出し、入手した。そして、修理品の基板に実装されたデバイスの動作を一つ一つ確認したところ、数点の部品不良が見つかったのでその部品を交換して基板を納品した。数日後に顧客から連絡があり『不具合の現象は変わらない』ということだった。どうやらこの基板が原因で、大型の工作機械の稼働が長期間止まってしまい、困っているようだった。

 この基板のこれ以上の修理は不可能と判断し、海外の通販サイトで同じ番号の基板を検索したら、偶然ヒットした。写真を確認すると、同じ基板だった。高額な基板だが、顧客に見積もりを送ったら先行手配の依頼があり、すぐに注文を入れた。1週間後に基板が届き、顧客に納品した。数日後に顧客から連絡があり『不具合の現象は変わらない』ということだった。

 これは困った。なんとか装置を動かさないと丸損になってしまう。遠方だったが顧客を訪問して、装置の不具合箇所を点検することになった。

 客先に訪問して早速、不具合発生時の状況をヒアリングした。『なぜ、この基板が不良原因と判断したのか?』と聞くと、『知り合いの電器店に見てもらった結果、基板の不良と判断した』ということだった。

 かなりあやふやな判断理由だ。装置の制御盤を見せてもらいシステムの接続を確認した。電源を接続するブレーカーやモーターと接続する回路を確認するため制御盤を開けると、制御基板のすぐ裏側にモーターと接続するヒューズがあった。試しに、そのヒューズの抵抗を測定したらなんとオープンだった。このモーターは直流モーターで高速に回転させるときに直流電圧を上げていた。経年の負荷でヒューズが劣化しモーターの負荷が重くなった時にヒューズが切れたのだろう。とにもかくにも、ヒューズが切れたために、モーターが正常に動作しなかったということだ……。

 使用されていた20Aの大型のヒューズで手持ちがないためハンダでヒューズ部分を巻いて仮接続した。電源を入れるとモーターは動作したが最大速度で回り続けてしまい、他にも不具合が残っているようだ。購入した基板の不良も考えられるので、以前に修理した基板に戻すとモーターが正常に動作した。海外通販サイトで購入した基板は引き取り、仮修理したヒューズは型番から販売先を調べて、顧客に購入手配を依頼した。

再び返品交渉……

 購入した基板はsellerに不良があったことを理由に、返品を申し出たところ、sellerの合意が取れ、送料と部品代が返金された。sellerの住所と返却先を確認し、日本郵便の海外配送を利用してsellerに返品した。

 結果的に長期間止まっていた工作機械を正常に動作するところまで修理できたので、それまでにかかっていた基板の修理費用と顧客への出張費用は何とか回収できた。顧客での最初の不具合時の判断が甘かったことがトラブルを招いた原因の一つだった。ただ、現場で機器を確認し、何とか正常に動作するところまでこぎ着けたことは良い経験になった。何より、機器が復旧し、顧客に喜んでもらうことができたのが一番うれしかった。これが修理の仕事の醍醐味でもある。

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