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「ファンクションジェネレーター」とはファンクションジェネレーターの基礎知識(1)(1/6 ページ)

信号発生器、発振器の一種である「ファンクションジェネレーター」について、使用する上でぜひ身に付けておきたい基礎的な知識を解説していこう。

» 2019年03月13日 11時00分 公開
[TechEyesOnline]
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 本記事は、計測器専門の情報サイト「TechEyesOnline」から転載しています。

信号発生器、発振器の種類

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 メカトロ機器、電子回路、部品材料の試験をする際には、さまざまな波形の信号が必要になる。ファンクションジェネレーターは直流や超低周波の波形から数十メガヘルツくらいまでの波形を発生できる製品が市場で多く使われている。

 ファンクションジェネレーターの歴史は長く、最初はアナログ回路技術を駆使してさまざまな波形を作っていたが、最近の製品はほとんどD-A変換器を使って複雑な波形を発生できるようになっている。

 本連載では「ファンクションジェネレーター」に関する基礎的な知識を解説するとともに、ファンクションジェネレーターの用途についてもいくつか紹介する。

 信号発生器、発振器にはさまざまな種類があり、分類するとおおよそ図1のようになる。解説するファンクションジェネレーターは信号発生器、発振器の一部となる。

 今回は、ファンクションジェネレーターに関する基礎的な知識を解説する。執筆にはファンクションジェネレーターを創業当初から長年開発してきたエヌエフ回路設計ブロックの協力を得た。

図1:さまざまな波形発生器
注:日本電気計測器工業会の分類では「音響映像用信号発生器」はオーディオ・ビジュアル測定器に分類されている。

発信器

 変調をしない正弦波やパルス波形を一定の周波数で連続して発生する信号源である。一般に安価なため、生産ラインや学校教育で使われる。最近はファンクションジェネレーターなどが低価格なったため、発信器として販売されている製品は少なくなっている。

掃引信号発生器

 設定した範囲の周波数や振幅を連続して変化させることができる信号源である。部品や製品の周波数特性を測定する場合に使われる。最近は標準信号発生器やファンクションジェネレーターに掃引機能が組み込まれているため、掃引信号発生器として販売されている製品は少なくなっている。

雑音発生器

 幅広い周波数成分を持つノイズ波形を発生する信号源である。周波数特性が平たんなホワイトノイズを発生するものは多いが、音響計測用にはパワーが周波数に反比例するピンクノイズを発生できるものがある。雑音発生器は雑音指数(Noise Figure)測定や音響特性測定などに用いられる。

標準信号発生器

 主に通信機や放送機器を評価するために使われる変調が可能な搬送波を出力できる信号発生器である。AMやFMなどアナログ変調とI/Q信号を用いたデジタル変調が行える製品がある。

パルス信号発生器

 パルス波形を発生できる信号源である。パルス波形の各種パラメーター(振幅、周波数、立ち上がり/立ち下がり時間など)を可変できるだけではなく、あらかじめ設定したシリアルおよび、パラレルのパターンを出力できる製品もある。通信機器や半導体の試験などに使われる。

ファンクションジェネレーター

 正弦波やパルス波以外に三角波、ランプ波、ノイズ波、任意波形を発生できる波形発生器である。ファンクションジェネレーターは外部の信号によって波形の発生制御ができる特長を持っているため、評価システムに組み込まれてセンサー信号模擬などに使われることがある。

 ファンクションジェネレーターはメカトロ機器から電子回路まで幅広い用途で使われている。

任意波形発生器

 ファンクションジェネレーターでも簡易的な任意波形を発生できるが、任意波形発生器は一般に大容量の波形メモリ、サンプル周波数を任意に設定できるクロック信号源、D-A変換器で構成されている。クロック信号源の任意の周波数を設定できるため、波形メモリに記録された波形データを途切れることなくすべて出力できる長所がある。だが、構成が複雑なためファンクションジェネレーターより高額になる。

音響映像用信号発生器

 音響機器や映像機器専用の信号源である。音響用信号発生器は超低歪な低周波を発生することが可能である。また映像信号発生器はさまざまな映像規格に適合した基準となる静止画や動画を発生できる能力を持つ。

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