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» 2019年03月13日 11時00分 公開

ファンクションジェネレーターの基礎知識(1):「ファンクションジェネレーター」とは (3/6)

[TechEyesOnline]

DDS方式ファンクションジェネレーター

 1970年代初めころにDirect Digital Synthesizer(DDS、デジタル直接合成発振器)の開発が行われて、その後、この技術を使ったファンクションジェネレーターが登場した。国内でもエヌエフ回路設計ブロックは1970年代に特定用途向けにD-A変換器を使った信号発生器を開発して、1981年にDDS方式のファンクションジェネレーターである「DF-191」(図6)を発売している。

図6:デジタルファンクションシンセサイザー(1981年) 提供:エヌエフ回路設計ブロック

 DDS方式の発振器の基本構造は図7に示すように、加算器とラッチでアキュムレーター(一般に位相アキュムレーターと呼ばれる)を構成し、クロックに同期して周波数設定値Nを累積していく。こうすると、周波数設定値に比例した速度のノコギリ波状のデジタルデータが得られる。このデータは出力波形の位相に相当し、波形データが書き込まれたROM(Read Only Memory)のアドレスとして使用する。このROMの出力をD-A変換器でアナログ信号にすると、波形ROMのデータに対応した波形が得られる。D-A変換器の出力は階段波なので、LPFでクロック成分を除去すると、きれいなアナログ出力が得られる。

 周波数を変化させるには周波数設定値のNを増減させることによって可能となる。

 DDS方式の発振器は波形ROMにさまざまな波形を保存することができるため、ファンクションジェネレーターにとって都合のよい方式である。

 また、波形発生がクロックに同期しているため、複数チャンネルの出力を同じクロック信号で発生すると位相精度の高い波形を得ることができる。

 しかし、波形は離散的なデータで作られているため、方形波を出力した場合はジッタが生じる欠点がある。最近のファンクションジェネレーターでは方形波でジッタの発生を抑制する仕組みが搭載されているものがある。

図7:DDS方式の発振器の原理図

任意波形が可能なDDS方式ファンクションジェネレーター

 DDS方式の発振器に波形ROMの部分を書き換え可能なRAM(Random Access Memory)に置き換えると、利用者は自由な形の任意波形を書き込むことが可能となる。波形はファンクションジェネレーター本体でも定義できるが、ファンクションジェネレーターの表示画面が小さいため、測定器メーカーから提供されるPC上で動く波形作成ソフトを使って任意波形を作るのが一般的である。

 現在、市販されている多くのDDS方式のファンクションジェネレーターは任意波形の発生が可能となっている。

図8:測定器メーカーが提供する任意波形作成ソフト 提供:エヌエフ回路設計ブロック

 DDS方式で任意波形を発生する場合、原理的な制約により周波数を高くすると波形データを読み飛ばすことになり、定義した波形の再現性が低下する。したがってデータ長が長い通信データのような波形をDDS方式の任意波形発生器で発生させることは適さない。このような波形を発生する際は、DDS方式ではなく、クロック周波数が可変でき、大容量の波形メモリを搭載した任意波形発生器を用いるのがよい。

特定用途向けのファンクションジェネレーター

 基本的な構造はDDS方式のファンクションジェネレーターと同じであるが、特定用途に適した操作パネルになっていたり、特殊な機能が付加されたりしている。

 図9は太陽光発電などに使うパワーコンディショナーの系統連系試験で使われる三相信号発生器である。この信号源を使ってさまざまな電源の状態を作り出すことができる。

図9:三相信号発生器TG1703(2011年) 提供:エヌエフ回路設計ブロック

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