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リレー(5) ―― 使用上の注意点 〜その2〜中堅技術者に贈る電子部品“徹底”活用講座(30)(1/3 ページ)

今回は、リレーに関して、まだ説明していない注意点や実際に量産工程で使用する場合の保管、導入前の工程監査などについて説明し、接点を持つ部品についてまとめます。

» 2019年04月23日 13時00分 公開

 前回はリレーのディレーティングや不良現象から見たリレーの選択および、使用上の注意点について説明しました。
 今回はまだ説明していない注意点や実際に量産工程で使用する場合の保管、導入前の工程監査などについて説明し、接点を持つ部品についてまとめます。

リレー回路の表現方法

 前回は接点間の消弧回路について説明しましたが、ここではリレーを使用する全体回路の設計についてその考え方を説明します。

全体設計

 図1図2に回路を設計する上で配慮するべき点を挙げます。

図1:回路図上での配慮 (クリックで拡大) 出典:プリント基板用リレー 共通の注意事項 オムロン

 接点を使ってリレー間でシーケンスを組む場合、図1(a)に示すように接点と負荷、コイルなどの電位関係をバラバラにすると誤配線を見つけるのが困難になります。この例では赤線のルートで微少電流が流れますのでX2、X3のシーケンス(ON/OFF)のタイミングに影響します。
 このような場合には基本的には接点を充電部、負荷を接地側に統一して回路図を作成すると回路図が見やすくなり、誤配線、誤動作などのミス防止に役立ちます。図1(b)はそのような考え方に従って作成した回路図例で、図1(a)(b)を比較するとどちらが見やすいかは明確です。

 12〜24Vの小信号用リレーのDC抵抗は一般的にはキロオームクラスになるので、ラフな固定抵抗器としてコイルの抵抗成分を代用する場合があります。ただし、図1(c)では赤線のルートでベース電流が流れますのでリレーは動作しなくてもこの電流によってコイルが電蝕を起こす可能性があります。

図2:駆動回路の方式

 リレーを駆動する回路としては図2(a)に示すLowサイド駆動回路と、図2(b)に示すHigh(Hi)サイド駆動回路がありますが回路設計のしやすさとしては圧倒的にLowサイド駆動回路が簡便です。
 しかしLowサイド駆動方式はリレーのON/OFFにかかわらずコイルが常時帯電しており、加えてリレーはその寿命の多くをOFFモードで使います。この時にコイルが帯電していれば電蝕の可能性が高くなりますので、可能であれば図2(b)に示すHiサイド駆動回路を使用してください。
 また図2(a)のLowサイド駆動回路を使用する場合は湿気防止のためにプラシール型を選び、環境試験を行って信頼性を確認してください。

電蝕(でんしょく):
 市場での使用温湿度が変化してリレー周辺に結露が発生するとシール性が低いタイプのリレーではコイルや周辺の部材が吸湿します。コイルに使用されるポリウレタン導線、ポリエステル導線などは吸湿すると銅線表面の絶縁塗膜が非常に脆弱になり、絶縁性能が急速に劣化します。
 この時に導線(コイル)が帯電しているとコイルー周辺金属間の電界と吸湿した水分による腐食が起きてコイルが断線に至ることがあります。


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