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「メモリレコーダー」とはメモリレコーダーの基礎知識(1)(2/4 ページ)

» 2019年06月26日 11時00分 公開
[TechEyesOnline]

ペン書きオシログラフ

 電磁オシログラフと構造はよく似ているが、可動コイル形計器の針先にペンが付いた構造となっている。記録には、インキ、熱、放電などが用いられる。電磁オシログラフに比べて可動部が大きいため、周波数帯域は100Hz程度までとなる。心電図、脳波などの生体信号、低い周波数の機械振動を多チャンネルで記録するのに使われた。

図4:ペン書きオシログラフの原理図

 最近までペン書きオシログラフは販売されていたが、価格が安く、取り扱いやすいメモリレコーダーに置き換わりつつある。

磁気テープ記録データレコーダー

 半導体メモリが高価であった時代にキロヘルツ帯域の波形を多チャンネルで長時間記録するには磁気テープが広く使われた。初期においてはアナログ記録であったが、1987年にDAT(Digital Audio Tape)規格が定められると、記録がアナログからデジタルに変わっていった。磁気テープ記録のデータレコーダーはランダムアクセスができないため、測定した波形から観測したい部分を見つけ出すのに手間が掛かる欠点があった。磁気テープ記録のデータレコーダーは波形記録装置であったため、記録した波形はオシロスコープなど別な波形表示装置を使って観測した。

 現在では半導体メモリが安価になったため、磁気テープ記録のデータレコーダーは販売されなくなった。またDATテープは現在生産が終了しているため、今後テープの入手は難しくなる。

現在よく使われる波形記録装置

 現在使われている波形記録装置はほぼすべてがA/D変換器と半導体メモリで構成されているメモリレコーダーやデジタルオシロスコープなどとなっている。メモリレコーダーは実験室や生産現場など主に屋内での利用と、点検や保守など屋外を含む現場での利用がある。ここでは市販されているメモリレコーダーの種類と特長を紹介する。

デスクトップ型メモリレコーダー

 メモリレコーダーで古くからあるオールインワンタイプの製品である。いくつかの計測器メーカーから製品が販売されているが、高性能、高機能な製品から基本機能に絞った製品までさまざまな種類が存在する。

 メモリレコーダーは電圧の観測だけではなく、さまざまなセンサーから得られる物理量を観測するため、用途に応じた入力モジュールが用意されている。

 最近のデスクトップ型メモリレコーダーは大量の波形データを高速に演算処理して画面に表示するための専用の画像処理回路を搭載してリアルタイムに波形を表示できる。

 また、メモリレコーダーを持ち歩く時に建物や大型設備などへ接触することが考えられるため、本体ケースにプロテクターが付けられた製品もある。屋外で利用する製品は商用交流電源以外に自動車で使われる12Vや24Vの直流電源でも利用可能となっている。

左=図5:高性能、高機能なデスクトップ型メモリレコーダー「MR6000」 / 右=図6:持ち歩いて使うことを考えたデスクトップ型メモリレコーダー「MR8847A」 (クリックで拡大)提供:日置電機

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