メディア
連載
» 2019年06月24日 11時00分 公開

中堅技術者に贈る電子部品“徹底”活用講座(32):フィルムキャパシター(2)―― メタライズド品の特徴と構造 (2/4)

[加藤博二(Sifoen),EDN Japan]

ヒーリング機能と故障モード

 前述した蒸着電極形状は自由にデザインできるので表1(b)の電極Bパターンのようにネック部を設けて局部的に電流集中を起こすようにデザインすることもできます。このネック部をヒューズブルリンクと言い、局所的なフィルムの絶縁破壊を生じた場合に該当パターンのリンク部を選択的に溶断させることができます。
 このようにして破壊した部分の電極Bを切り離してキャパシターとしての動作を継続する作用をヒーリング(自己修復)機能といい、メタライズド品特有の機能です。

 このヒーリング機能によって一時的な過電圧でも即ショート不良には至りませんが、この機能だけが取り上げられて一部では"メタライズド品は故障しても自己回復する"という風評が立っています。
 しかし、実際にはリンクが溶断するたびに容量は少しずつ減少し、逆にリップル電流密度などは増加していきますのでこの動作は正帰還的に作用することになり、悪条件が重なると焼損する可能性があります。

 例えば、LCフィルターなど振動成分を持つ回路では溶断時のパルス電流によってインダクタンスに振動電圧が誘起され、この振動電圧が過電圧となって異常状態を持続する時があります。図1はDC400Vで動作中のキャパシターに内部破壊が発生した時の様子をシミュレーションしたものです。

図1:連続異常電生成モード

 図1(a)では内部放電の様子を放電電圧450V、停止電圧150Vで模擬していますが図1(b)に示すように電源電圧(赤線)によるトリガーがなくなってもLC共振によってキャパシターの両端電圧が振動するために異常電圧が継続してキャパシターに印加されている様子が分かります。
 このようにリンク溶断が連続して発生すると、熱のこもりからフィルムの絶縁抵抗の低下を招いて中心部から炭化やハーフショート化が進行して発煙・発火に至ることがあります。図2はメーカーによる実際の過電流保護機能の劣化の様子です。

図2:連続過電圧発生時のヒーリング機能の劣化の様子 出典 Panasonic 保安機構付コンデンサについて

 メタライズド品といえども決して魔法のような「自己回復」などはしません。ですから使用に当たっては適切なディレーティングを採ることが求められます。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

EDN 海外ネットワーク

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.