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メモリレコーダーの構造と利用上の留意点メモリレコーダーの基礎知識(2)(3/4 ページ)

» 2019年07月18日 11時00分 公開
[TechEyesOnline]

安全対策

 メモリレコーダーを使って波形観測する対象には危険が存在するものがあるため、事故を起こさないよう安全に留意する必要がある。

 【1】入力モジュールの耐電圧が観測する電圧を超えていないことを確認する。

 【2】入力モジュールの耐電圧より高い電圧を測定する場合は、高電圧差動プローブや光絶縁プローブを利用する。

 【3】電池など発生電圧を遮断できない測定対象物は、事故を防ぐためヒューズを挿入する。

 【4】高温を発生する装置に測定器や信号線を近づけない。

 【5】波形観測のため回転機などの近くに配線をする場合は、配線の巻き込みを防ぐため配線の固定など対策を行う。

 【6】実験を行う際、破裂などの危険がある場合は、通信機能を使って遠隔から設定や波形観測を行う。

 【7】屋外の測定対象を長期間に渡って波形観測する場合は、電源線、信号線、通信線に、落雷による機器の破損を防ぐ対策を講じる。

発熱対策

 メモリレコーダーを使って正確な波形観測をする際は、機器内の温度が異常に上昇しないように設置しなければならない。設置条件は取扱説明書に書かれているので、システムにメモリレコーダーを組み込む場合などは事前に確認する必要がある。

図9:取扱説明書に書かれた設置条件(MR8847取扱説明書) 提供:日置電機

 また、冷却効果を維持するために、通風孔の清掃を定期的に行うのが望ましい。

 長期に渡って機内温度が高い状態になると、電解コンデンサーの劣化を早めることになるので、発熱対策はメモリレコーダーの故障を防ぐうえでも重要である。

 冷却のためのファンモーターは寿命部品であるため、取扱説明書に書かれた寿命を目安に交換することを勧める。

電池の劣化

 デスクトップ型メモリレコーダーや電池駆動型メモリレコーダーには電池が搭載されている。電池は寿命部品であるため、取扱説明書に掲載された寿命を参照して交換する必要がある。

 デスクトップ型メモリレコーダーには、設定情報の保存や内蔵時計を駆動するための小型の一次電池が搭載されている。また、電池駆動型メモリレコーダーには、充電可能なリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池が搭載されている。

 電池は丁寧な取り扱いが必要な部品であるため、電池工業会から使用上の注意点が示されている。利用するうえでは、「熱源や高温になる場所に放置しない」と「強い衝撃を加えない」を守る必要がある。

 充電式電池には産出量が少ない貴重な資源が使われているため、廃棄する場合は、電池に張り付けられたリサイクルマークを見て適切に処分する必要がある。

図10:充電式電池リサイクルマーク

メモリレコーダーの固定

 メモリレコーダーの小型化と多チャンネル化が進んでいるため、軽量でコンパクトな本体に多くの配線がされるようになってきた。

 このため、配線に引きずられてメモリレコーダーが机の上から落下する可能性がある。多くの配線をメモリレコーダーに接続する場合は、配線の固定もしくはメモリレコーダーを固定することが望ましい。

 最近は、地震対策としてPC、サーバ、電子計測器用の固定具が販売されているため、メモリレコーダーの固定にも利用可能である。

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