Jetson Nano開発キットの基本と注意点：開発着手前に知っておきたい（1/2 ページ）

　2019年3月に開催されたNVIDIA主催の技術カンファレンス「GTC 2019」で発表された「NVIDIA Jetson Nano開発者キット」が2019年4月に日本国内で発売された。本記事では、Jetson Nano開発者キットの概要、OSインストール方法といくつかの注意点について紹介する。

Jetson Nano開発者キットの概要と仕様

　「Jetson Nano」は128コアのMaxwellアーキテクチャGPUやクアッドコアのCortex-A57 CPU、4GバイトのLPDDR4メモリなどを搭載したシステム オン モジュール（SOM）だ。このJetson NanoモジュールをUSBやmicroSD、M.2、イーサネットなどのI/Oを備えたインタフェースボード（以下キャリアボード）に搭載し、開発プラットフォームとして販売されているものがJetson Nano開発者キットである。

　Jetson Nanoを量産品に利用する場合は他のJetsonシリーズ同様、“開発者キット”ではなく、2019年8月以降に販売される予定のJetson Nanoモジュール（単体）と、“量産対応のキャリアボード”を別途、調達（ないし開発）する必要がある。量産対応のキャリアボードについては、さまざまなボードベンダーから、Jetson Nano対応のキャリアボードが提供される見込みだ。

　Jetson Nano開発者キットの技術仕様は以下の通りだ。

Jetson Nano開発者キットのセットアップ

セットアップ手順が掲載されているWebサイト

　Jetson Nano開発者キットのセットアップには2種類の方法がある。1つは「Raspberry Pi」のセットアップのように、OSイメージファイルをWindowsマシンなどでmicroSDカードに直接書き込む方法である。このセットアップ方法はSDK一式がすべてインストールでき、操作が簡単という特長がある。基本的にはこの方法で、セットアップするとよいだろう。詳しいセットアップ手順はWebサイトのGet Started With Jetson Nano Developer Kitを確認してほしい。同Webサイトは英語で記載されている。ただ、その内容は「1．イメージをダウンロード」して、「2．書き込みツールでmicroSDカードに書き込む」という具合であり、英語が苦手でも理解しやすいだろう。

　もう1つのセットアップ方法は、他のJetsonシリーズ共通のSDK Managerを使用する方法だ。インストールするコンテンツをチェックボックスで選択してセットアップすることができる柔軟さがある。ただし、セットアップのためにUbuntuがインストールされたホストPCやインターネット接続が必要になるため比較的ハードルが高い方法といえる。この方法でセットアップする場合は、Webドキュメントをよく読んで実行してほしい。なお、SDK Managerを使用するセットアップ方法では、ホストPCのUbuntuがVirtualBoxなどの仮想環境ではうまくセットアップできない問題や、32Gバイト容量のmicroSDカードを使っていても使用できる容量が16Gバイトになってしまうといった問題が確認されているので注意が必要だ。