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» 2019年09月26日 11時00分 公開

設計事例で学ぶデルタ-シグマADCでのアンプノイズ影響アナログ設計のきほん【ADCとノイズ】(7)(2/4 ページ)

[Bryan Lizon(Texas Instruments),EDN Japan]

アンプの電圧ノイズの算出

 次のステップは、それぞれのアンプのノイズ電圧を求めることです。これには、それぞれの電圧ノイズ密度のプロット図とノイズ仕様が必要になります。まず、OPA141を見てみましょう(図3)。OPA141の電圧ノイズ密度は、赤で示す低周波数(1/f)ノイズ領域と、青で示すフラットな(広帯域)領域の、2つの部分で構成されています。

図3:「OPA141」のノイズパラメーター表と電圧ノイズ密度プロット図。1/fノイズ領域を赤で、広帯域ノイズ領域を青で示す

 このようにノイズ密度が平らでないため、OPA141のノイズ寄与の算出は難しくなります。狭帯域システムでは1/fノイズが支配的になり、広帯域システムではアンプの広帯域ノイズへの依存がずっと大きくなります。したがって、アンプのノイズ寄与を確定するには、まずシステムの有効ノイズ帯域幅(ENBW)を計算する必要があります。

 選択したODRでのADCのデジタルフィルターが狭帯域なことを考慮すると、シグナルチェーン全体でADCの帯域が支配的になると想定できます。本連載の第5回では、ADS1262のSINC4フィルターを60SPSで使ってENBWが14Hzであることを計算で求めました(このODRのフィルターの−3dBポイントからおおよそのENBWを求めることもできました)。14HzをシステムのENBWとして使用し、理想的なブリックウォールフィルターとしてOPA141のプロット図に重ね合わせることで、アンプのノイズ寄与が確定します(図4の紫で塗りつぶした部分)。

図4:14Hzの理想的ブリックウォールフィルターを用いた「OPA141」の電圧ノイズスペクトル密度プロット図

 ENBWが小さいので、「OPA141」のノイズはほとんどすべて1/f領域に由来します。このノイズの実際値を判定するには、直接積分するか、ノイズ密度曲線の下側の面積を推定する簡易化された式を使用します。この計算を行うと、システムへの「OPA141」のノイズ寄与が45nVRMSであることが分かります。

 では、これを次のOPA211アンプと比較するにはどうすればいいのでしょうか。図5は、OPA211のノイズパラメーターとその電圧ノイズスペクトル密度曲線です。このプロット図はOPA141と形がよく似ています。紫の領域で示すのは、ENBWが14Hzと想定したときのOPA211のノイズ寄与です。

図5:「OPA211」の電圧ノイズスペクトル密度プロット図および、ノイズ仕様表

 しかし、この紫の領域はOPA211がシステムに寄与する18.3nVRMSのノイズしか表しておらず、OPA141と比べてかなり低いものです。そのため、ノイズのプロット図の形やアンプのノイズ仕様表の値から何かを推測することは絶対に避けなければいけません。その代わりに必要な計算を実行してから、外部アンプのノイズ特性に関して判断することが非常に重要です。

 3つ目のアンプのOPA378では、図6で分かるように、これまでの2つのアンプとは電圧ノイズスペクトル密度曲線が異なります。OPA378はチョッパ安定化アンプなので、ノイズ密度曲線はおおむねフラットであり、明らかな1/f部分がありません。したがって、データシートの電圧ノイズ密度の値(20nV/√Hz)を使って、システムに入る電圧ノイズが約76nVRMSであることを計算できます(図6の紫の領域)。

図6:「OPA378」の電圧ノイズスペクトル密度プロット図および、ノイズ仕様表

 電圧ノイズの計算が完了したので、これらのアンプをADS1262の入力側に付け加えて、システムのノイズ特性がどうなるかを見てみましょう。しかしその前に、図6で得られるもう1つのパラメーター、電流ノイズをざっと確認しましょう。

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