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設計事例で学ぶデルタ-シグマADCでのアンプノイズ影響アナログ設計のきほん【ADCとノイズ】(7)(3/4 ページ)

» 2019年09月26日 11時00分 公開

電流ノイズに関するポイント

 今回はこれまでずっと電圧ノイズに注目してきましたが、図6のOPA378のノイズスペクトル密度曲線には電流ノイズのプロットも含まれています(単位はfA/√Hz)。電圧ノイズ計算と同じENBWを使って、OPA378の電流ノイズ寄与が759fARMSであることが計算で求まります。この値はOPA378の電圧ノイズと比べて大したことはないように思うかもしれませんが、電流ノイズの累積効果はこの部品にかかる入力インピーダンスに左右されることを思い出してください。したがって、どのくらいの入力インピーダンスでOPA378の電流ノイズが顕著になるかを理解することが不可欠です。

 図7は、OPA378を使用して入力インピーダンスに対する総ノイズ(電圧と電流の合計)の増加率をプロットしたものです。異なるいくつかの入力インピーダンスとそれに対応する総ノイズへの影響を明示しています。例えば、入力インピーダンスが14kでは、電圧ノイズのみの場合と比較して、電流ノイズによって総ノイズが1%増加します。あるいは、ノイズバジェットに10%の増加率の余裕を見込める場合は、システムは46kΩの入力インピーダンスに対応できるでしょう。

図7:入力インピーダンスの関数としての「OPA378」の総ノイズ(電圧と電流の合計)の増加率

 したがって、信号ソース/センサー出力のインピーダンスが大きい場合は、電流ノイズが重要になります。しかし、測温抵抗体(RTD)や抵抗性ブリッジ回路のような標準的なセンサー入力では、通常はインピーダンスが1kΩ以下なので、電流ノイズは総ノイズにほとんど影響しません。

 この例では、入力インピーダンスが小さいと想定して電流ノイズを無視することにします。ただし、完全なノイズ解析には、少なくとも電流ノイズが無視できる程度かを確認するために、電流ノイズの計算も必要です。

 それでは、結果を比較するために外部アンプをADS1262の入力側に付け加えて、最後まで解析しましょう。

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