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» 2019年12月26日 11時00分 公開

新規格IEEE 802.11bt:最大90Wを供給できる高電力PoE、IoTの用途を切り開く (2/2)

[Riley Beck(Product Marketing Manager, ON Semiconductor),EDN Japan]
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デバイスの分類

 PoEでは、機器を給電側機器(PSE)または受電側機器(PD)に分類する。PSEには、ケーブルで電力と通信を提供するものと、単に電力を増幅するものの2種類がある。エンドポイントPSEは、PoE機能を内蔵するイーサネットデータスイッチであるのに対し、ミッドスパンPSEはスイッチとPDの間に設置し、リンクに追加電力を注入できる。これにより、どのようなイーサネットリンクにも電力供給機能を追加でき、たとえPSEスイッチを持たない場合でも、ミッドスパンPSEを挿入することによって電力供給が可能になる。

 この仕様の旧バージョンでは、PDに供給される電力は、PDが実際に必要とする電力量に関係なく一定だった。一方、IEEE 802.3bt仕様における重要な進歩は自動分類(Autoclass)機能であり、これによってPDは実際に必要な電力量をPSEに伝えることができるようになる。このように、自動分類では、利用可能な電力を効率的に管理することにより、PSEは多くのPDに対応できる。旧バージョンの仕様で使える接続を介して電力を管理する方法を、タイプ定義の観点から新仕様と比較することができる。

 「タイプ1」のPoEは、IEEE 802.3af規格を使用し、2組のペアケーブルを介してポートに15.4Wの最大電力を供給できる。このタイプでは、VoIP電話、センサー、2本のアンテナを備えた無線アクセスポイント、PTZ機能の無い固定カメラなどの機器に12Wを供給する。

 「タイプ2」はPoE+とも呼ばれ、IEEE 802.3atに基づいており、やはり2組のペアケーブルを介して30Wの電力をイーサネットポートに供給できる。このタイプはPTZ機能を備えた、より複雑な監視カメラ、6本のアンテナを備えた無線アクセスポイント、LCDディスプレイ、生体認証センサー、タブレットなど、消費電力25Wまでの機器向けとなっている。

 「タイプ3」あるいはPoE++は、IEEE 802.3btに基づいて4組のペアケーブルを使用し、最大60Wの電力をテレビ会議システムの構成部品やビル管理機器などに供給する。

 「タイプ4」はPoE++を90Wまで拡張したもので、最大71.3Wの電力を機器に供給できる。

 自動分類に対応している場合、タイプ3とタイプ4のPSEは、接続時に、リンクが4組全てのペアケーブルを利用可能かどうかを確認することが可能だ。これに対し、PDは2つの電力シグネチャのうち1つを生成する。シングルシグネチャは2ペアモードと4ペアモードの両方が、同じ供給レールに整流器を介して接続されることを示しており、電気的な負荷は全て同一供給レールに分配される。

図1:自動分類を備えたクラス8 PDの起動プロセス(クリックで拡大)

 デュアルシグネチャPDでは、両方のモードとも別々の検出および分類機構を備えた個別PDコントローラーに接続される。つまり、たとえ2ペアモードが給電された場合でも、4ペアモードの検出と分類が可能ということだ。これはシングルシグネチャPDの場合は不可能である。

 新規格は、低スタンバイ電力にも対応している。既存のIEEE 802.3atにおける最小の電力しきい値は130mWで、それ以下では、PDはスイッチオフとなる。短いMPS(Maintain Power Signature: 電力保持シグネチャ)を使用するIEEE 802.3btのしきい値はわずか20mWで、極めて低いスタンバイ電力を実現できるようになる。

 自動分類では、各PDが必要な電力を確実に受け取れるように、ポートに供給する電力を管理する必要がある。そうした管理には、ケーブルによって生じる損失なども考慮しなくてはならない。これを実現するには、最初に電力が供給されたとき、PDは約1.5秒で所要最大電力を消費しなければならず、PSEがこれを測定してPDの電力バジェットを決定する(図1)。

 現在、高電力PoEに対応するPoEコントローラーが登場している。これらは外付けMOSFETまたは集積MOSFETを使用するが、トランジスタが集積されていないコントローラーでは、具体的なアプリケーションに合わせてMOSFETの選択を調整可能だ。こうしたコントローラーの一例として、ON Semiconductorの「NCP1095」などがある。

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