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デジタルオシロスコープの校正やプローブの概要デジタルオシロスコープの基礎知識(3)(7/9 ページ)

» 2020年02月13日 11時00分 公開
[EDN Japan]

AC/DC電流プローブ

 AC/DC電流プローブは1960年代後半に登場している。基本的な構造は当時と大きく変わっていないが、小型化と高性能化が進んだ。電流センサーにはさまざまな方式があるが、広帯域でAC/DC電流を測定できるのは下図に示すホール素子を使った磁気平衡式である。

図14:磁気平衡式広帯域AC/DC電流センサーの構造

 AC/DC電流プローブを利用するうえで注意が必要なのは、周波数ディレーティングである。高い周波数の電流波形を観測すると磁気コアの損失により発熱が生じる。このため利用できる上限値が周波数によって異なるので注意が必要である。また、上限値は温度にも依存する。

図15:テクトロニクスのTCP0020型 AC/DC電流プローブの周波数ディレーティング(クリックで拡大)

 もう一つ注意が必要なのは、AC/DC電流プローブによる挿入インピーダンスである。低い周波数では大きな値ではないが、高い周波数の電流を観測するときは注意が必要である。

図16:テクトロニクスのTCP0020 型 AC/DC 電流プローブの挿入インピーダンス対周波数

ロゴスキーコイル電流プローブ

 ロゴスキーコイルは、もともと大電流の交流信号を観測するのに使われていた。構造がシンプルで小型化しやすいため、最近ではパワートランジスタの端子電流波形を測定するなど、パワーエレクトロニクス機器の開発で使われるようになってきた。

図17:ロゴスキーコイル電流センサーの構造(クリックで拡大)

 下表には、テクトロニクスのロゴスキーコイル電流センサーを示す。周波数帯域が直流からでないため、パルス波形を観測した時はサグが生じる。

型名 周波数帯域 最大ピーク電流 最小電流 感度 コイル断面直径
TRCP0300 9.2Hz 〜 30MHz 300A 250mA 20mV/A 1.7mm
TRCP0600 12Hz 〜 30MHz 600A 500mA 10mV/A 4.5mm
TRCP3000 1.3Hz 〜 16MHz 3000A 500mA 2.0mV/A 8.5mm
表6:テクトロニクスのロゴスキー電流プローブ

 ロゴスキーコイルの部分は繊細な構造をしているので、取扱いは丁寧に行う必要がある。波形観測では外部からの磁界の影響を受けやすい欠点を持っているため、利用には注意が必要である。

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