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» 2020年04月02日 11時00分 公開

Bluetooth位置情報サービスの種類と市場を知ろう(後編):Bluetooth 5.1で追加された「方向検知機能」を知ろう (1/3)

前編では、Bluetooth位置情報サービスの具体的な活用法について区分に分けて紹介しました。後編では、より高精度な位置情報サービスの実現を目指し、Bluetoothコア仕様バージョン5.1(Bluetooth 5.1)に追加された、方向検知機能について解説します。

[Lori Lee(Bluetooth SIG),EDN Japan]

 前編では、Bluetooth位置情報サービスの具体的な活用法について区分に分けて紹介しました。後編では、より高精度な位置情報サービスの実現を目指し、Bluetoothコア仕様バージョン5.1(Bluetooth 5.1)に追加された、方向検知機能について解説します。

方向検知機能と2つの方式

 Bluetoothの方向検知機能は、受信角度(AoA:Angle of Arrival)と放射角度(AoD:Angle of Departure)という2種類の方法でBluetooth信号の方向を特定します。AoAとAoDはいずれもアレイアンテナを必要とします。

受信角度(AoA)による方向検知

 AoAの手法では、方向を特定される側のデバイスが、リアルタイム位置情報システム(RTLS)ソリューションにおけるタグのように、単一のアンテナから特殊な方向検知信号を発信します。受信側のデバイスは、RTLSソリューションにおけるロケーターのように、複数のアンテナを配置している必要があります。発信側と受信側のアンテナ間の距離はそれぞれ異なるため、発信された信号がこの複数のアンテナに到達すると、受信側のデバイスはアンテナごとに異なる位相の信号を検知します。受信デバイスは、アクティブなアンテナを切り替えながら、信号の同相および直交位相(IQ)サンプルを取ります。

 このIQサンプルに基づき、受信側のデバイスが信号の相対的な方向を計算します。AoAによる方向検知は、RTLS、探索、POI情報と位置情報サービスといったソリューションでの活用を想定した技術です。

放射角度(AoD)による方向検知

 AoDの手法では、方向を特定される側のデバイスが、屋内測位システム(IPS)ソリューションにおけるロケータービーコンのように、複数のアンテナが配置されたアレイアンテナから特殊な信号を発信します。受信側のデバイスは、IPSソリューションにおける携帯電話のように、単一のアンテナが必要になります。

 発信デバイスから発信された複数の信号が受信デバイスのアンテナに到達すると、受信デバイスがIQサンプルを取得します。このIQサンプルに基づき、受信側のデバイスが信号の相対的な方向を計算します。AoDによる方向検知は、道案内を始めとするIPSソリューションでの活用を想定した技術です。

AoA/AoDの仕組み

 今回はBluetooth SIGのメンバー企業であるSilicon Labsのソリューションを例に、方向検知機能の構成について具体的に解説していきます。

Bluetooth 5.1の方向検知機能では、複数のアンテナを持つアンテナアレイを用い、アンテナの場所がそれぞれ違う事に起因する電波の位相情報を活用することで電波の飛来方向を検知します。アレイアンテナは、下図のSilicon Labsのデモンストレーションしている基板の写真やその部品構成図で示すように、1つのBluetooth Low EnergyデバイスからRFスイッチを介してそれぞれのアンテナに接続され、方向検知時は一定期間内にスイッチを高速に切り替えて使用されています。

Silicon LabsのBluetooth5.1方向検知デモボード:16個(4x4)のアンテナアレイの例と、アレイアンテナの部品構成

 通常の通信に使う電波はデジタルデータの伝達の為に変調が掛けられ、位相は常に変化するので、方向検知には特別な仕組みが必要です。Bluetooth 5.1では単調なサイン波を送るために、通常のデータ通信を行った直後に、Constant Tone Extension(CTE)として一定期間の無変調の電波を送信する事が可能になりました。

 このCTEをアンテナアレイで受信し、入射角を計算する方法がAoAです。一方、アンテナアレイからCTEを出力し、単一アンテナの受信端末に届く位相差を計算して角度を割り出す方法がAoDとなります。

AoA/AoDのポイント
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