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DCDCコンバーターの信頼性(4)コンデンサーの信頼性DC-CDコンバーター活用講座(33)(4/5 ページ)

» 2020年04月30日 11時00分 公開

タンタルコンデンサーと電解コンデンサー

 電解コンデンサーはDC-DCコンバーターのモジュール内部で使われることはまずありませんが、EMCフィルターの一部として、あるいは入出力電圧の安定化やピーク電流への対応のため、外部部品としての需要は少なくありません。後者のカテゴリーの例は、IGBTドライブ回路です。IGBTドライバが消費する平均的な電力は、通常わずか約2Wですが、ピークゲートドライブ電流は数アンペアになります。

 DC-DCコンバーターの出力に接続される大型の低ESR電解コンデンサーは、小電力DC-DCコンバーターには不可能なピークドライブ電流を流すことができます。タンタル電解コンデンサーとアルミニウム電解コンデンサーは、導電層(タンタルまたはアルミニウム)が電解液または電解ジェルをしみこませた絶縁体によって分離されているという同じような構造をとっています。電解質を使うと体積容量値が大幅に向上するので、電解コンデンサーは同じ寸法のパッケージのMLCCと比べて2倍の容量値を提供できます。電解質のもう1つの利点は、プレート間の小さな損傷であればコンデンサーが自身で修理できることです(自己修復)。

 自己修復は、層間弧絡が電解質中の水を電気分解し、加水分解によって水素と酸素を生成することで起こります。酸素は陽極層と化合して酸化層を成長させ、漏れをふさぎます。放出された水素はコンデンサーの外部に移動するか化学的に吸収されます。

 タンタルコンデンサーは同じ寸法のアルミニウムコンデンサーより容量定格が高く、温度と時間に対して容量値が安定しているなどの優れている点があるにも関らず、米国のドッドフランク法で規制されている紛争鉱物リストに載っているため、その使用は減りつつあります。過電圧過渡によって損傷を受けると熱暴走しやすいために、タンタルコンデンサーは信頼性が低いという悪評を買いました。不具合が起きると、弧絡によって発生した熱が酸化マンガン陰極を発火させコンデンサーを燃やしてしまいます。RECOMでは、いずれの商品にもタンタルコンデンサーを使っていません。

 電解コンデンサー(E-caps)は、信頼性に関しては評判がよくありません。しかし、この評価の大半は不当なものです。コンデンサーの仕様が適切で、それをしっかり守って使いさえすれば、非常に信頼性の高い部品です。RECOMでは、AC/DC製品に25℃での設計寿命が22年以上のある電解コンデンサーを使っています。しかし、より廉価な商品をという電源市場からの要求により、設計、部品の選択、コンデンサー動作点などにおける妥協を余儀なくされ、そのため多くの場合、電解コンデンサーは信頼性に観点で最も弱い部品となり、もっとも故障の可能性が高くなります。

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