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マイコン内蔵フラッシュメモリの書き込み&消去動作Q&Aで学ぶマイコン講座(55)(2/3 ページ)

» 2020年05月28日 10時00分 公開

フラッシュメモリの基本原理

 マイコンに内蔵されているフラッシュメモリは、電源を切っても記憶内容が消えない「不揮発性メモリ(Non-Volatile Memory)」です。その中でも、ユーザーが書き換えることのできるプログラマブルROM(Programmable ROM)の1種にあたります。

 フラッシュメモリのメモリセルは、通常のMOSと同じように「ソース」「ドレイン」「ゲート」で構成されていますが、ゲートの下に「フローティングゲート」という電子を保持できる部分が形成されています。(図2)

図2:フラッシュメモリのメモリセルの構造

 ゲートに高電圧を印可してソースをグランドレベル(0V)にすると、ソースから供給される電子が高電界によってエネルギーを与えられ、ドレイン近傍で高エネルギー状態になります。これを「ホットエレクトロン」と呼びます。このホットエレクトロンがトンネル酸化膜を飛び越えてフローティングゲート内に入ることで電子が注入された状態となります。

 注入された電子は、ゲートに印可された高電圧が取り除かれてもフローティングゲート内に保持されます。そして、フローティングゲート内に入り込んだ電子により、メモリセルの閾値が変化します。閾値が変わるとメモリセルのON/OFF動作が変わるため、フラッシュメモリを読み出した時のデータが変わります。

 消去操作では逆に、ソースに高電圧を印可してゲートをグランドレベル(0V)にすることで、高電界によって電子がソースに引き寄せられ、フローティングゲートから取り除かれます。消去されるとメモリセルの閾値は元に戻ります。(図3)

図3:フラッシュメモリの書き込みと消去

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