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» 2020年06月11日 11時00分 公開

FFTアナライザーの基礎知識(1):FFTアナライザーの歴史と選定するための仕様の理解 (1/5)

信号の波形観測では、オシロスコープ、メモリレコーダー、記録計といった時間の経過に伴って信号強度の変化を観測する時間領域の測定器が多く使われる。しかし、信号に含まれる周波数成分を観測したいときは、周波数分析器が必要になる。今回は低周波信号の周波数成分を観測するFFTアナライザーについて解説を行う。

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 本記事は、計測器専門の情報サイト「TechEyesOnline」から転載しています。

はじめに

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 信号の波形観測では、オシロスコープ、メモリレコーダー、記録計といった時間の経過に伴って信号強度の変化を観測する時間領域の測定器が多く使われる。しかし、信号に含まれる周波数成分を観測したいときは、周波数分析器が必要になる。周波数成分を観測する代表的な測定器としては、スペクトラムアナライザーとFFTアナライザーがある。今回は低周波信号の周波数成分を観測するFFTアナライザーについて解説を行う。

図1:時間領域と周波数領域(クリックで拡大)

 1965年にJ. W. CooleyとJ. W. Tukeyによって考案されたFFTは、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform)の略称である。その後、デジタル電子回路の進化によってFFTアナライザーは進化していき、振動や音響の分野では広く使われるようになっている。その他にも電力信号や生体信号の分析にも使われるようになってきたが、現在ではオシロスコープ、メモリレコーダー、電力計、心電計、筋電計にFFT解析機能が組み込まれるようになったため、FFTアナライザーは振動や音響の分野に特化した測定器となっている。

 フーリエ変換についての数学的な解説書は多く存在するので、今回は数学的な解説を割愛して実用的な使い方について紹介を行うことにした。そのため本体だけでなく主なセンサーについても多少解説に加えた。今回の執筆には、長年に渡ってさまざまなFFTアナライザーを開発し、多くの応用分野で実績を持つ小野測器の協力を得た。

FFTアナライザーが登場する前にあった周波数分析器

 低周波信号の周波数分析をしたい要求は古くからあったため、さまざまな測定器が開発された。ここでは3つの測定器を紹介する。

マルチフィルター型周波数分析器

 特定の周波数範囲だけの信号を通過させることができるバンドパスフィルターと検波器を用いれば、信号の周波数分析を行うことができる。安定した信号であれば、バンドパスフィルターの中心周波数を切り替えて信号強度を記録していけば、周波数分析を行うことができる。

 時間とともに変化する信号の場合は、複数のバントパスフィルターと検波器を用意すればリアルタイムに周波数分析を行うことができる。ただし、広い周波数帯域に渡って細かく周波数分析したい場合は、多くのバンドパスフィルターと検波器が必要となるため規模が大きくなる。

 オクターブ分析ではLOGスケールで等間隔に区切られた周波数範囲の信号の強度を観測すればよいため、音響分析では現在でもFFTアナライザーと併用して使われている。

図2:マルチフィルター型周波数分析器

オクターブ分析とは

 周波数分析する方法にはFFT分析とオクターブ分析がある。人が感じる周波数特性はピアノの鍵盤と同じように等比的であるため、騒音の分析などではオクターブ分析が用いられる。オクターブ分析で使われるフィルター特性は、JIS C 1514(IEC 61260)で規定されている。

 FFT分析は周波数バンド幅がリニアに等間隔(定幅分析)であるのに対して、オクターブ分析では周波数バンド幅がLOG的に等間隔(定比幅分析)となっている。

図3:FFT分析とオクターブ分析の違い

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