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» 2020年10月08日 11時00分 公開

あらためて知りたい、その利点:インダストリー4.0への移行を加速する産業用イーサネット (3/4)

[Fiona Treacy(Analog Devices),EDN Japan]

エッジまで拡張する

 最終的には、プロセス制御アプリケーションにおいて、エッジのノードからエンタープライズのクラウドまでをシームレスに接続できるようになるはずです(図5)。恐らく、これが最も影響の大きい変化でしょう。

図5:シームレスなエッジtoクラウドの接続 出典:Analog Devices(クリックで拡大)

 現時点で、エッジまでの接続性は4〜20mAの電流ループやフィールドバスといった既存の技術からの制約を受けています。多くの場合、その部分はハードワイヤードのポイント・ツー・ポイント接続として実装されているはずです。そのことが、時間の経過に応じてネットワークが進化/成長するための柔軟性を制限する要因になります。

 イーサネットをベースとしない旧来のフィールド通信には、いくつかの課題があります。まず、帯域幅がかなり限られており、伝送される情報の量と速度が制限されます。例えば、4〜20mAのHART(Highway Addressable Remote Tranducer)通信では、データ転送速度がわずか1.2kbpsしかありません。また、装置に供給される電力が限られていることから、機能が制限されるケースもあります。さらに、制御やITのレベルに存在するゲートウェイが極めて大きなオーバーヘッドになります。その他にも、本質的に安全なゾーン0の環境における動作や、既存の配線(ケーブル)ネットワークを利用して、より高速で安価なコミッショニングをサポートしなければならないといった課題もあります。

 そうした課題に対応するために、10BASE-T1Lの全二重通信に向けて、IEEE 802.3cg-2019の規格策定が進められることになりました。最近承認されたこの規格では、1本のツイストペアケーブルを使って、最大1kmの距離で10Mbpsの全二重通信を行うための仕組みと電力供給について規定しています。センサーからのデータはイーサネットのパケットとして生成され、OTインフラ/ITインフラにイーサネットのパケットとして伝送されることになります。遅延を生み、電力を消費し、コスト面でのオーバーヘッドとなる変換処理は必要ありません。

 図5に示したように、既存のネットワーク・アーキテクチャは、リモートのI/Oユニットをイーサネットのフィールド・スイッチに置き換える形で変更されます。イーサネットの命令は、10BASE-T1Lに対応するマルチポートのフィールド・スイッチを介して、コントローラーとフィールドの装置の間で送受できるようになります。フィールドのノードで生成された知見は、イーサネットのパケット(ならびに広い帯域幅)によって、フィールド・スイッチのネットワークを介してPLC/DCS(Distributed Control System)コントローラーまで、そして最終的にはクラウドまで伝送することが可能になります。

 既存のフィールドバスから産業用イーサネットへの移行を後押ししているのは、それによって得られる複数の明白なメリットです。まず、その移行においては、既存のケーブルインフラ(最長1km)を再利用できる可能性があります。そのため、導入作業が簡素化され、改修コストを抑えられます。

 また、従来はケーブルを介して装置に供給できる電力量が36mWまでに抑えられていました(4〜20mAが実装されている場合のベスト・ケースの値)。それが、最大で60W(ケーブルに依存)まで、またはゾーン0の本質的に安全なアプリケーションの場合で500mWまで拡張されます。追加で利用できる電力により、エンドノードのインテリジェンスを活用する、より高機能の装置を利用できるようになります。それに加えて、アップリンクの速度を10Mbpsのレベルに高められるので、インダストリー4.0がもたらす効率を最大限に活用して、より多くの知見を得ることができます。

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