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» 2020年10月29日 11時00分 公開

中堅技術者に贈る電子部品“徹底”活用講座(48):セラミックキャパシター(4) ―― 温度特性 (1/4)

セラミックキャパシターの温度特性について説明をしていきます。なお、今回、取り上げる温度特性はIEC規格クラス1やその日本版であるJIS規格のクラス1です。

[加藤博二(Sifoen),EDN Japan]

 前回はセラミックキャパシターの特徴や構造とともに製造工程を中心に説明しました。

 今回はこのように作られたセラミックキャパシターの温度特性について説明をしていきます。
 ここで取り上げる温度特性はIEC規格クラス1やその日本版であるJIS規格の種類1です。
*クラス2の特性については次回に説明します。また互換性の参考としてできる限り、EIA規格の内容も参考として併記します。

セラミックキャパシターの温度特性の発生

 セラミックキャパシターを分解してみると断面は単一材料の無機物に見え、温度特性は持たないように思えます。しかし、その成分については第1回で説明した通りファインセラミックスの名に恥じない複雑な材料が用いられています。物理寸法の変化以外にもこれらの成分の結合(化合)の様子が熱エネルギーによって影響を受け、容量の温度特性を生みます。

<注>
 温度による物理寸法の変化は材料の線膨張係数に左右され、プリント基板との線膨張係数の差があると使用中の温度変化によってはんだ部に応力が発生します。例えば電源のオン/オフによる機内温度変化や気温の変化などによってこの応力が数百回、繰り返しはんだにかかるとはんだが疲労破断しクラックを生じて破断し、回路がオープンします。
 この対策として積層セラミックをバネ性の取付足を設けたタイプもありますので使用する部品のサイズや使用状況を確認し、規定応力内に収まっていることを確認してください。

クラス1 セラミックキャパシター

 ここでは直線的な温度特性を持つクラス1のセラミックキャパシターについて説明します。
 このクラスの誘電体は二酸化チタン(TiO2)などの常誘電体を出発材料とし、これにマグネシウム(Mg)、ニオブ(Nb)、亜鉛(Zn)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、錫(Sn)、バリウム(Ba)、コバルト(Co)などを置換、結合することで各種特性を調整して作られています。
 これらの誘電体の温度特性は常誘電体であるので、

  • 直線性に優れた温度特性を持ち、
  • 電圧依存性がなく、
  • 等価損失が非常に少なく(約0.15%程度)、
  • 経年変化がほとんどなく、
  • 周波数特性も優れている

などの特長を持ち、共振回路や鋭い共振特性(Hi-Q)が要求されるフィルター回路、あるいは各種発振回路の温度補償などによく用いられます。

 セラミックキャパシターの容量〜温度特性はその誘電体に左右されます。表1に代表的なクラス1用誘電体の特性を示しますがこれらの誘電体は自発分極を持たない常誘電体です。この種のセラミックキャパシターはヒステリシスを持たないので各種特性が優れていますがその反面、誘電率εrを大きくできません。つまり小型化の面では不利になります。

表1:常誘電体の特性例
化学式 比誘電率εr 温度特性α(10-6/K)
MgNb2O6 21 −70
ZnNb2O6 25 −56
MgTa2O6 28 18
ZnTa2O6 38 9
(ZnMg)TiO3 32 5
(ZrSn)TiO4 37 0
Ba2Ti9O20 40 2
出典:Wikipedia Ceramic Capacitor

*自発分極:外部からの電場(電圧印加)がなくても電気双極子が整列する現象。強誘電体の自発分極はヒステリシス損失の原因になり高周波損失の要因になります。

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