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DC-DCアプリケーションの考え方(2)スイッチングレギュレーターとDC-DCコンバーターの組み合わせDC-DCコンバーター活用講座(41)(1/3 ページ)

DC-DCコンバーターを組み合わせてそれぞれの長所を生かすか、あるいは直列に結合して出力電圧を上げることができます。また、絶縁することもできます。組み合わせ方にはほとんど限りがないので、今回はいくつかの例を示します。

» 2020年12月17日 10時00分 公開

スイッチングレギュレーターとDC-DCコンバーターの組み合わせ

 DC-DCコンバーターを組み合わせてそれぞれのタイプの長所を生かすか、あるいは直列に結合して出力電圧を上げることができます。また、絶縁することもできます。組み合わせ方にはほとんど限りがないので、ここではいくつかの例を示します。

例1

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この例はフォークリフトトラックで使用される5V電源の場合です。

 バッテリー電圧は公称48Vで、スペースが厳しく限られているため電源はディスプレイパネルに組み込みます。RECOMは高入力電圧のスイッチングレギュレーターシリーズ「R-78HB」を作っていますが、出力電流は0.5Aに制限されており、ディスプレイパネルの電流要件(1A)を満たすには低すぎます。必要なのは、高入力電圧と高出力電流の組み合わせです。

図1:カスケード接続したスイッチングレギュレーター

 バッテリー電圧は、充電中の65Vから負荷に給電中の20Vまで変化する可能性があります。この電圧範囲は、5W絶縁型コンバーター(例:DIP24のREC5-4805SRWZ)の4:1の範囲に十分収まりますが、このアプリケーションでは絶縁は不要です。このソリューションは、2個の非絶縁型コンバーターを直列に使用して、同じ機能を低コストおよび小さな実装面積で実現します。

 「R-78HB15」フロントレギュレーターは、公称48Vのバッテリー電圧を効率よく15Vまで降圧しますが、500mAに制限されます。2番目の「R-7805」レギュレーターは1Aで5Vを供給しますが、1番目のレギュレーターから370mAしか引き出しません。スイッチングレギュレーターの平均入力電流は次の関係式を使って計算することができます。 

式1:スイッチングレギュレーターの入力電流の計算

 この例では、R-7805は1番目のレギュレーターから、IIN=5/15×1/0.9=0.37Aを引き出します。全体の効率は82%を超え、電源は21mm×12mmのボードスペースしか必要としません(DIP24ケース・サイズの約3分の1)。また、2個のレギュレーターを寝かせて実装して全体の高さを8mm未満にすることができます。無負荷時の消費電流は5mA未満なので、オン、オフスイッチは不要です。

 R-78シリーズのスイッチングレギュレーターは、通常動作では外付け部品を必要としませんが、このアプリケーションではいくつか外付けを推奨します。入力コンデンサーC1は、バッテリーの負荷ダンプによって生じる高速電圧トランジェントやスパイクから、「R78HB15-0.5」レギュレーターを保護するのに役立ちます。ESRが大きい低品質の電解コンデンサーは、その内部抵抗がスナバネットワークのように機能するので最適です。

 「R-7805-1.0」レギュレーターは、起動時の突入電流が大きいアプリケーションでは最大3Aに達するピーク電流を供給できるので、2番目の10µFコンデンサーC2が必要です。C2はこの一時的ブースト電流を供給するのに役立ち、低ESRのMLCCが適しています。

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