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» 2021年01月19日 11時00分 公開

低温症に悩むUSBチューナーを“発想の転換”で修理Wired, Weird(1/2 ページ)

今回は、USBテレビチューナー「PX-W3U3」の修理の様子を報告する。

[山平豊(メカニカル技研),EDN Japan]

 SNSを通してUSBテレビチューナー「PX-W3U3」の修理依頼があった。依頼者はEDN Japanで表面実装部品(SMD)の外し方に関する記事を読んだようで、USB制御IC「ASV5211」(QFP-64パッケージ)チップの交換を依頼された。依頼主にチップ交換に至った不具合の状況を聞くと長期間使っていたUSBチューナーが動作しなくなり、ドライヤーで加熱すると動作するが、冷えると停止するということだった。依頼主は修理方法をWeb検索し、『チューナーのUSB制御IC「ASV5211」を交換したら直った』という記事を見つけ交換部品を入手したという。そして、このUSB制御ICを交換してほしいという依頼に至ったらしい。面白そうな依頼だったので引き受けた。

ドライヤーで加熱したら復活する!?

 依頼主から良品と不良品の2つのチューナーが送られてきたので、PCに起動ソフトウェアをインストールして動作を確認した。良品はUSBを接続するとすぐPCに認識されたが、不良品は認識されなかった。カバーを開けたUSBチューナーの写真を図1に示す。

図1:修理を依頼されたUSBチューナー

 カバーはネジ3個を外したら、簡単に開けることができた。USB制御ICのASV5211はハンダ面の左中央の赤四角の位置に2個実装されていた。ハンダ面の写真を図2に示す。

図2:USBチューナーの基板(ハンダ面)

 図2の左上の部品面にUSBコネクターと電源のコネクターが実装されていた。図2の左上にはコイルとダイオードが見えた。5Vから3.3Vに変換するダウンコンバーターだった。

 PX-W3U3をWebで検索すると、よく似た動作不良の記事がいくつか見つかった。記事にはドライヤーで加熱したり、ヒーターの上で加熱したりすると復活するという内容だった。詳しく記事を読んだところ、2つキーワードが見つかった。1つは『低温症』、もう1つは『水晶の動作不良』だ。つまり温度が下がると水晶が発振しなくなってASV5211が動作しなくなるようだ。ASV5211のデータシートをWebで探したが見つからなかった。ICの拡大写真を図3に示す。

図3:「ASV5211」の実装部

 図3で2個のASV5211の右上に2個の水晶チップがあり、ASV5211に接続されていた。発振周波数は12MHzのようだ。不良基板に単体で15Vの電源とUSBコネクターを接続したが、やはりPCには認識されなかった。試しに通電したままで、指で水晶チップに触れてみたらPCに認識された。これはかなり微妙な動作だ。水晶の発振回路はデバイスと水晶チップに相性があり、過去にも似た問題に遭遇したことがある。ASV5211の電源電圧は3.3Vと低く、発振条件はさらに厳しい。基板の温度が上がると水晶とデバイス間の微妙な浮遊容量などの変化が起こり、発振しやすくなることも考えられた。

 しかし、どうやって修理するか、ASV5211のICを交換しても直らない可能性がある。この小さなチップは外すのは簡単だが、極小サイズの64ピンのチップでかつ0.8mmピッチのハンダ付けにはあまり自信がない。これを修理するには、発想を転換するほかなさそうだ。

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