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LCRメーターの構造と試料の接続方法、測定誤差の考え方LCRメーターの基礎知識(2)(2/6 ページ)

» 2021年02月04日 11時00分 公開
[TechEyesOnline]

試料との接続

 インピーダンス測定では発振器から供給された信号を測定対象の試料に印加して電流波形と電圧波形からそれぞれの大きさと位相差を測定する。ここではさまざまな接続法を示してその特徴を述べる。

2端子法

 最も簡単な接続法であるが、接触抵抗、配線の直列インピーダンス、ケーブルや端子間の浮遊容量の影響を受けるため、数十キロヘルツ以上の周波数やインピーダンスが10Ω〜10kΩの範囲外では誤差が多くなる。

図2:2端子法

3端子法

 2端子法の配線にシールドを加えてシールド導体はガード端子に接続されたものである。浮遊容量の影響が抑えられて、10MΩまでの高インピーダンス測定ができるようになる。ただし接触抵抗や配線の直列インピーダンスが残るため10Ω以下の低インピーダンスの測定には制約がある。

図3:3端子法

4端子法

 信号を試料に印加するケーブルと測定するケーブルを独立にすることによって、ケーブルによる電圧降下や接触抵抗の影響を除くことができる。このため低インピーダンスの測定は1Ω程度まで広がる。しかしケーブル間の浮遊容量の影響は残るため10kΩ以上の高インピーダンスの測定は不向きである。

図4:4端子法

【ミニ解説】ケルビン接続

 低インピーダンスを直流や交流で測定する場合はケーブルのインピーダンスや接触抵抗などの影響を排除する必要がある。このため信号源の配線と測定を行う配線を分離させる。この接続をケルビン接続もしくは4端子接続という。

 ケルビンの名前が付けられているのは考案者である英国の物理学者ケルビン卿ウイリアム・トムソン(1824−1907年)の名前から来ている。

 LCRメーターのアクセサリーにケルビンクリップがあるが、これは下図のように4端子接続するためのケーブルである。

図5:ケルビンクリップ

5端子接続

 4端子接続の配線にシールドを加えてシールド導体はガード端子に接続されたものである。この接続は1Ωから10MΩまでの幅広いインピーダンス測定に対応できる。ただし電流ケーブルと電圧ケーブルの間の相互誘導の影響は少し残る。

図6:5端子接続

4端子対法

 シールドケーブルのシールド側を利用して電流の往路と復路を重ねることで磁束の発生を抑えて電磁誘導による影響をなくす。配線は複雑になるが、最も良い方法である。

図7:4端子対法

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