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» 2021年02月18日 10時00分 公開

DC-DCアプリケーションの考え方(4)CTRLピンやVADJピンの使い方DC-DCコンバーター活用講座(43)

引き続き、DC-DCコンバーターのあまり一般的でない使用方法について検討します。今回はCTRLピンやVADJピンの使い方に関して解説します。

[Steve Roberts(RECOM),EDN Japan]

CTRLピンの使い方

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 DC-DCコンバーターにはオン/オフ制御ピンを備えているものがあり、コンバーターを電源に接続したまま出力電力段をオフします。このような構成の利点は、入力フィルターコンデンサーが既に充電されているので、イネーブル信号に対する応答時間が非常に高速であり、コンバーターの再起動による大きな突入電流スパイクを生じないことです。後者は、放電したバッテリーから突入電流を引き出すと、バッテリー電圧が最小許容レベルを下回るおそれがあるバッテリー駆動システムでは特に重要です。

 次の設計例は、超低平均消費電力の間欠動作のみのバッテリー駆動システムです。代表的アプリケーションは、太陽電池で駆動されるポンプステーションや山頂の気象観測所などの、送電網から外れた施設の遠隔監視システムです。あらかじめ決められた間隔でマイクロコントローラーの電源を入れ、ポンプの圧力や周囲温度などいくつかの測定を行い、測定結果を不揮発性RAMに保存します。何回かの測定サイクルの後、マイコンがGSMリンクを起動して、保存されているデータをダウンロードするようにプログラムできます。

 測定または転送が完了したら、マイコンは555タイマーをトリガして、自己の電源をオフします。待機期間の間、低消費電力のタイマー回路を除いて、システムは完全にパワーダウンします。スリープモードでバッテリーから流れる電流はわずか120µAほどです(タイマー回路に100µA、スタンバイ状態のR-78AAレギュレーターに20µA)

 従って、バッテリーは優に1年以上もちます。さらに改良するとすれば、異なるマイコンファミリーを使用できるように、5Vまたは3.3Vのバス電圧を選択するジャンパ線を設けることが可能です。

図1:自己パワーオフ回路

VADJピンの使い方

 多くのDC-DCコンバーターは、出力電圧を調整するためのトリムピンを備えています。出力電圧は内部で固定抵抗分割器を介して、電圧リファレンスと比較されます(図2)

 トリムピンを使って2個の電圧設定抵抗の結合部に外部からアクセスできるので、ユーザーは出力電圧を上下に調整することができます。トリムピンからグランドへ外付け抵抗を接続するとVREFがプルダウンされるので、その分コンバーターの出力電圧が上がります。同様に、トリム・ピンからVOUT+へ抵抗を接続するとVREFがプルアップされるので、コンバーターの出力電圧が下がります。

図2:代表的な外部電圧トリム回路

 上の回路では、R3がトリム範囲を安全な範囲に制限して出力を安定にします。標準的なトリム範囲は±10%です。

 普通はトリミングによって出力電圧を上げて、ケーブルやトラックで生じるI2R損失に対して補償を行います。負荷がほぼ一定であれば、帰還を備えた検出入力は不要です。電圧を下げるトリミングはそれほど使われず、多くの場合、出力電圧が重要部品の絶対最大値を超えないようにするのに使われます。

 スイッチングレギュレーターは、同じ内部部品を使って非常に広い範囲の出力電圧で安定して動作するので、50%以上のトリム範囲は珍しくありません。次のアプリケーション例は1Aのスイッチングレギュレーターモジュールを使って、ソーラーパネルで駆動する簡単な充電ステーションを実現します。

 「R-6112P」レギュレーターの公称出力電圧は12Vですが、スイッチセレクターにより鉛蓄電池充電用に13.8V、NiCdバッテリーの充電用に6V、または電話のチャージャ用に5Vも出力可能です。トリム抵抗は、出力ダイオードD2両端の電圧降下を補償するように選択します。このダイオードはソーラーパネルが電力を供給していないとき、コンバーターを逆電流から保護するのに必要です。USBソケットの抵抗ネットワークは、5V電源から安全に引き出せる電流の大きさを電話が検出するのに必要です。

図3:ソーラーパネル駆動の簡単な充電ステーション

注記:モバイルフォンの保証は、承認されていないチャージャを使用すると無効になります。RECOMはこのアプリケーションの推奨またはその使用に関して責任を負いません。


⇒「DC-DCコンバーター活用講座」連載バックナンバーはこちら


執筆者プロフィール

Steve Roberts

Steve Roberts

英国生まれ。ロンドンのブルネル大学(現在はウエスト・ロンドン大学)で物理・電子工学の学士(理学)号を取得後、University College Hospitalに勤務。その後、科学博物館で12年間インタラクティブ部門担当主任として勤務する間に、University College Londonで修士(理学)号を取得。オーストリアに渡って、RECOMのテクニカル・サポート・チームに加わり、カスタム・コンバーターの開発とお客様対応を担当。その後、オーストリア、グムンデンの新本社で、RECOM Groupのテクニカル・ディレクタに就任。



※本連載は、RECOMが発行した「DC/DC知識の本 ユーザーのための実用的ヒント」(2014年)を転載しています。

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