メディア
連載
» 2021年06月10日 11時00分 公開

エラーの発生原因を追う ―― パワコンの修理(3)Wired, Weird(1/2 ページ)

前回に引き続き、パワーコンディショナー(以下、パワコン)の修理の様子を報告する。前回、AC電圧低下エラーが発生することを確認したのだが、10分放置するとエラーが解消され、正常動作を始めた。なぜだろうかーー。

[山平豊(Rimos),EDN Japan]

⇒連載「Wired, Weird」バックナンバー

 前々回前回に引き続き、パワーコンディショナー(以下、パワコン)の修理の様子を報告する。

10分放置するとエラーが消え正常動作……

 前回に紹介した通り、電源基板の動作を確認するため制御基板と接続して、AC100VとソーラーのDC26Vの電源を投入すると「AC電圧低下」と「出力電圧低下」のエラー表示が表示された。

 エラーが表示されたことを修理依頼主に報告するため、いったん作業場を離れた。報告などを終え10分ほどして作業場に戻ると、なんとパワコンが正常に動作していた――。図1に示す。

図1:正常動作の様子(左)と出力電圧測定の様子

 図1左でセグメント表示のエラーは消えて、赤LEDのAC給電と緑LEDの太陽電池給電の表示が点灯していた。出力電圧を確認したら、DC142Vあり太陽電池給電だった。

 放置したままなのに、なぜ正常に動作したのだろう? AC電圧のモニター値がたまたま正常な値になり、エラーが消えて正常な出力になったのだろうか?

 そこで、再現試験を5回繰り返してみた。1回目は10分30秒ほど放置すると再現した。しかし2回目以降は30分以上待っても再現しなかった。

 この結果で、パワコンは正常に動作できることが分かった。おそらく、AC電圧の監視電圧がしきい値の近い値にありこれを少し改善すればAC電圧低下エラー(セグメント表示で『F1』と表示されるエラー)はクリアできる。そしてAC電圧低下エラーをクリアできれば、パワコンは正常動作するはずだ。

監視電圧を出力している回路を探る

 こうなれば話は簡単だ。AC電圧の監視電圧を制御基板へ供給している回路を探して不良の原因を確認すればよい。あらためて電源基板を詳しく調べてみると、AC入力部の近くに少し怪しい回路ブロックがあった。図2に示す。

図2:怪しいと感じた電源基板の一部

 怪しいと感じたのは図2の右の茶色の高精度の部品で囲まれた部分だ。フォトアンプ2個とフォトカプラ3個とオペアンプ1個があった。フォトアンプのA7840はインバーターでモーターの電流を絶縁して増幅するA7800と近い部品だ。インバーターの修理時に時々交換していた。フォトアンプ内の赤外発光ダイオードの輝度が下がったことがAC電圧低下エラーの原因だろう。テスターでA7840の入力と出力の電圧を測定した。下のIC3の入力は100mV、出力は600mVで利得は6倍だ。上のIC4の入力は10mV、出力は80mVで利得は8倍だった。A7840のデータシートを確認した。図3に示す。

図3:「A7840」のデータシートにあった電気的特性に関する記載

 図3はA7840のデータシートの電気的特性だ。利得ゲインを確認すると『8』が定格値だった。IC4は利得が「8」だったが、IC3の利得は「6」しかなくIC3が劣化していたことが分かった。おそらくIC3がAC電圧、IC4がDC出力電圧を伝える部品だろう。IC3を交換すればAC電圧低下エラーは直ると思われた。しかし、手持ち部品にA7840がない。IC交換以外の方法を考えるために、AC電圧の監視部の回路図を書いてみた。次ページの図4に示す。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

EDN 海外ネットワーク

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.