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回転ブラシが回らなくなった掃除機の修理【前編】Wired, Weird(2/2 ページ)

» 2021年09月16日 10時00分 公開
[山平豊(Rimos)EDN Japan]
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最難関、電源部の分解

 次は最難関の電源部の分解だ。この掃除機には特殊ネジが使用されていた。手持ちの特殊工具で電源部本体やバッテリー部は分解できた。工具の写真を図4に示す。

図4:分解に使用した工具 (クリックで拡大)

 図4の工具にはプラス、マイナスはもちろんのこと、三角、三角スター、六角スターのドライバーがある。この掃除機には六角スターのドライバーが活躍した。

 掃除機の各部分は分解できたが重要な電源部の制御基板を取り出すことはできなかった。やむを得ずバッテリーから攻めてみた。バッテリーを取り出してバッテリー側のコネクターの電圧を測定したが電圧は出ていなかった。本体の電源スイッチを押せばバッテリーから電圧が出る構造になっているようだ。このためケースに穴を開け、バッテリー電圧を直接取り出すことにした。バッテリーのコネクターと穴あけ加工部の写真を図5に示す。

図5:バッテリーのコネクター部(左)と穴あけ加工部 (クリックで拡大)

 図5左はバッテリーを取り出し、下から見た写真だ、2本の端子が見える。図5右は穴を空ける位置にマークを入れた。図5左のコネクターの端子の奥に配線2本をハンダ付けして、配線を加工穴から取り出した。バッテリーのマイナス端子が接続できたのでこれを基準に電源部の出力のコネクターの電圧と抵抗を測定した。本体のコネクターの写真を図6に示す。

図6:本体側のコネクター部 (クリックで拡大)

 図6左はフィルターのケースを外した写真で、中央部に2ピンのコネクターが見える。このコネクターから電動ブラシの電源が供給されていた。図6右はフィルターカバーを外してコネクターの電圧を直接確認した。その結果、片方にはDC21V X印のコネクターには電圧がなかった。マイナス端子とX印のコネクター間の抵抗はオープンだった。電動ブラシのマイナス側に定電流回路を入れて電動ブラシのモーターを駆動しているようだ。この接続回路だと図3で使ったダウンコンバーターは使えない。

 とりあえずモーターに電圧を印加するため、マイナスのコネクターの配線に4.7Ωの抵抗を追加してバッテリーの端子に配線のリードを長めに剝いてハンダ付けし図6右のコネクターに配線を差し込んだ。改造した写真を図7に示す。

図7:修理(改造)後の本体部 (クリックで拡大)

 図7左は穴加工してマイナス電圧の配線を取り出し抵抗にハンダ付けした。図7右は抵抗の他端に配線をハンダ付けしその先端を電源部のX印のコネクターへ差し込んだものだ。

動作するようになったが……

 電源スイッチを押して電動ブラシの動作を確認すると、4.7Ωの抵抗で一応のトルクはあった。しかし10秒ほど回転したら抵抗がかなり熱くなった。高熱では火傷することがあり、まずいので4.7Ωの抵抗を並列接続しトルクアップと発熱の低減を行った。当面はこれで使えるだろう。

 しかし、この接続ではバッテリーの消耗が気がかりだ。今のままでは理想的な修理には届いていない。もう少しこの掃除機を勉強して理想的な修理に近づけた。次回に報告する。

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