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» 2021年10月06日 10時00分 公開

電磁気学入門(3)エアギャップインダクターとコア形状DC-DCコンバーター活用講座(46)(1/2 ページ)

今回は、コアの飽和を制御する方法として、コアにエアギャップを設ける「エアギャップインダクター」や、標準的な「コア形状」について解説します。

[Steve Roberts(RECOM),EDN Japan]

 コアの飽和を制御する方法として、コアにエアギャップを設ける方法があります。小さなギャップを作るために切断されたインダクターコアについて考察します。

図1:エアギャップがあるインダクターコアと、B-H曲線の変化[クリックで拡大]

 エアギャップは、コアを流過する低インピーダンス磁束経路の「高抵抗」のように振る舞います。実効透磁率が下がることでB-H曲線が傾き、コアが飽和する磁界強度がより高くなります。

式1:コアの実効透磁率に関するエアギャップの影響
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 コアにエアギャップを設ける利点は、エアギャップを調整することで、良好な保磁力値に影響を与えずに強磁場において透磁率を微調整でき、飽和の心配をあまりせずに、保磁力の高い材料を低いコア損失で使うことが可能なことです(図1参照。赤および青の両方の曲線がゼロ軸を交差する点が同じ)。さらに、エアギャップを設けたコアは、温度と周波数に対する安定性が向上します。これは、ほとんどの磁界エネルギーが、BとH(式2)の線形な関係をもつ小さなエアギャップに集中するからです。

式2:磁場の強さ

 他の利点としては、磁界エネルギーが非常に小さな領域に集中することで、インダクター周りの残存磁界の拡散を大幅に削減できることです。そのインダクターは、シールドされているとも言えますが、これは間違った言い方です。磁界は磁性材料によって小さな領域に集中しますが、完全にブロックできるわけではありません。しかしながら、磁界を小さなエアギャップに集中させることで磁束漏れが少なくなり、インダクター周辺にある他の部品への干渉を低減できます。注意しなければならないのは、エアギャップ付近尾磁界強度は極めて強く*)、他の導体や部品は、この「シールドされている」インダクターのエアギャップの近くに配置してはいけません。

*)エアギャップが強い局部的な磁界をもつという特性は、利点として使うことが可能です。例えば、テープレコーダーやHDDは、ギャップの高い漏れ磁束を、記録メディアの局部的な磁化または消磁に利用しています。

図2:シールドされたインダクター

 エアギャップ付きコアの主な不利点は、ギャップがテーパー状、または機械的な段状になっていない場合、非常に不意に(急な)最終的な飽和に至ることです。また、実効的な透磁率は減少するので(場合によってはほぼ20分の1)、ギャップなしコアに対して同じインダクタンスを得るにはより多くの巻き数が必要です。

式3:エアギャップ付きインダクターのインダクタンス

 Aeffはコアの有効断面、leffはコアの有効経路長、Nは巻き数です。エアギャップの追加はμeffを減少させるので(式4参照)、同じインダクタンスLを得るには、巻き数Nは増加します。

式4:比透磁率μrと磁性材料の磁束密度

 エアギャップは、コアを物理的にカットする必要はなく、実際にはプラスチックのような非磁性体材料をエアとして入れることで機能します。コンポジット材コアは、磁性粒体間に非磁性体結合剤を混合させます。ギャップは効果的にコア材料全体に分配され、物理的なエアギャップを備えたコアと同等の性能を示します。コンポジット材コアは、粒体サイズと結合剤の割合を変えることで、標準コアがもつ値の最大200倍の透磁率を実現可能です。

 コンポジット材コアの他の利点は、ギャップが一様に分配されているので、局所的な高い磁束密度の集中がないことです。物理的なエアギャップの高い縁磁束は、近接した巻き線の渦電流損失の重大要因になりますが、コンポジット材コアは楽観できます。また、コンポジット材コアの磁性粒体間の間質性ギャップは、サイズに自然の偏差があり、それは、等価のエアギャップ付きコアより、B-H曲線の飽和入りを穏やかにします(図3)

図3:エアギャップなし、エアギャップ付き、コンポジットフェライトコアの性能比較[クリックで拡大]
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