検索
連載

積層セラミックチップコンデンサはこうして作られるよく分かる! コンデンサの仕組みと働き(3)(2/4 ページ)

電子機器に使用されるコンデンサのグローバル販売数量は年間約7000億個に及び、その約80%は積層セラミックチップコンデンサが占めています。携帯電話に代表される電子機器の小型・軽量化を陰から推進してきたのも、積層セラミックチップコンデンサです。そこで今回は、一般にはあまり知られていない積層セラミックチップコンデンサの要素技術や製造技術を紹介します。

Share
Tweet
LINE
Hatena

“ムーアの法則”に匹敵するスピードで小型化・大容量化を実現

 誘電体(絶縁体)を挟んだ2枚の電極板がコンデンサの基本構造です。コンデンサの静電容量は、電極板の面積に比例します。複数のコンデンサを並列接合すれば、電極面積が増えることと同等なので、コンデンサの数に応じて静電容量をアップできます。しかし、これでは回路基板で占める容積が大きくなり、省スペース化が図れません。

図2 積層セラミックチップコンデンサの構造
図2 積層セラミックチップコンデンサの構造

 そこで積層セラミックチップコンデンサは、セラミック誘電体と内部電極をサンドイッチ状に交互に多層積層することで、小型化と大容量化を実現しています。図3に積層セラミックチップコンデンサの等価回路を示します。多層積層されているので、コンデンサが直列接続しているように見えますが、内部電極は交互に左右の外部電極と接続されているので、並列接合と等価であることがお分かりいただけるでしょう。

図3 積層セラミックチップコンデンサの等価回路
図3 積層セラミックチップコンデンサの等価回路

 民生分野における受動チップ部品の採用は、1970年代の電卓やポケットラジオに始まります。1970年代は実装技術の大転換の時代で、自動装着機の開発と並行して、電子部品のチップ化が急速に進行しました。

 マイクロエレクトロニクス革命が進行し、“軽薄短小”が流行語になった1980年代初め、積層セラミックチップコンデンサは3216サイズ(3.2×1.6mm)が主流でした。ほぼ米粒ほどの大きさですが、現在、携帯電話などでは1005サイズ(1.0×0.5mm)が主流です。今後は、0603サイズ(0.6×0.3mm)、さらには0402サイズ(0.4×0.2mm)へとシフトすると予測されています。これらはイチゴの種よりもさらに小さく、ルーペで拡大して外観がようやく確認できるほどのサイズです。

図4 積層セラミックチップコンデンサのサイズ比較
図4 積層セラミックチップコンデンサのサイズ比較

 ICやLSIといった半導体集積回路には、“ムーアの法則”と呼ばれるものがあります。シリコンチップ上のトランジスタは、約2年間で2倍というスピードで高集積化が進むという経験則です。この約30年間において、積層セラミックチップコンデンサも、このムーアの法則に匹敵するようなスピードで大容量化と小型化を成し遂げました。例えば同形状の3216サイズで比較すると、1980年代初頭と比べて静電容量は1000倍にもなりました。また、同容量の0.1μFで比較すれば、3216サイズは0603サイズになり、体積は100分の1にまで縮小しました。

図5 積層セラミックチップコンデンサの大容量化と小型化
図5 積層セラミックチップコンデンサの大容量化と小型化

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る