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USB 3.1/Type-Cの概要と測定の肝USB Type-Cの登場で評価試験はどう変わる?(1)(1/4 ページ)

高速伝送や電力供給(PD:Power Delivery)機能をサポートするUSB 3.1およびType-Cが登場し、注目を集めている。USB 3.1およびType-Cコネクタを搭載した機器を開発するに当たって、システム設計者が知っておくべき試験/評価方法について解説する。

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 高速伝送や電力供給(PD:Power Delivery)機能を搭載して注目を集める高速シリアルインタフェース技術「USB3.1」。併せて登場したコネクタ規格「Type-C」も、表裏のないリバーシブル形状を採用したことで話題を集めている。本稿では、「試験/評価」という視点から、5回に分けて「USB 3.1/Type-C」規格に迫る。

 1回目となる今回は、「Type-Cコネクタ」の概要と「USB 3.1/Type-C」のテストソリューションについて紹介する。2回目以降は、「コネクタ/ケーブル」や「信号品質」、「受信耐性」および「PD(Power Delivery)」の試験/評価方法について、より詳細に解説する。特に、USB 3.1/Type-C対応のシステム開発を行う際に、設計者が知っておくべき測定項目や測定方法などに重点を置き紹介する。

Type-Cコネクタとは

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左=従来のスタンダードAレセプタクル / 中=Type-C プラグ / 右=Type-C レセプタクル(クリックで拡大)

 最新のApple製MacBookは、周辺機器や電源などへの接続を1つのポートに統合している。USB-Cと呼ぶこのポートで、USB 3.1仕様のデータ伝送やDisplayPort接続によるビデオ出力、機器の充電などを行うことができる。MacBookが提供する新たな接続環境は、次世代の薄型/軽量ノートPCやタブレット端末などの製品企画にも大きな影響を与えており、USB 3.1/Type-Cが有効な接続方法の1つであることを示した。

 USB 3.1/Type-Cを採用するメリットとして、大きく3つ挙げることができる。その1つは、10ギガビット/秒(Gbps)の高速通信が利用できることである。Type-Cコネクタ自体は20Gbpsまでの性能を持っており、今後も拡張可能な設計になっている。2つ目は、PD規格に対応することで、電力供給能力が拡張できることである。電力供給の方向や容量がフレキシブルになる。3つ目は、Alternate Modeを利用することで、USB以外の通信も利用できることである。USB3.1以外にDisplayPortやThunderboltなども1つのType-Cコネクタで利用できる。

USB 3.1とは

 ここで、USB 3.1規格について確認しておく。USB 3.1規格にはデータ伝送速度が5Gbpsの「USB 3.1 Gen 1」と、10Gbpsの「USB 3.1 Gen 2」がある。さらに高速伝送となる次世代規格は「USB 3.1 Gen X」と呼ばれている。また、USB 3.1 Gen 1に対応した機器は「SuperSpeed(SS)」対応、USB 3.1 Gen 2に対応した機器は「SuperSpeedPlus(SSP)」対応と呼ぶこともある。ちなみに、従来のUSB3.0はアップデートされてUSB3.1となったため、今後は「USB3.0」という呼称は使われない。「USB 3.1 Gen 1」または「USB 3.1 Gen 2」という呼び方で区別する必要がある。

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USB 3.1用語解説 出典:キーサイト・テクノロジー(以下、キーサイト)

 Type-C対応のケーブルには、認識用のIDチップが内蔵されている製品もある。USB 3.1/Type-Cは、幅広い伝送速度に対応しなければならない。しかも、供給できる電力は最大100Wと大きい。ケーブルに内蔵されたIDチップにはケーブル仕様の情報が登録されている。PCなどのホスト側と接続されると、まずケーブルの仕様情報をホスト側に通信する。通信/通電する前にその条件を満たした安全なケーブルであるかどうかの確認を行う仕組みとなっている。Apple製「Lightningケーブル」などと同様の技術だ。

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