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» 2017年05月31日 11時00分 UPDATE

中堅技術者に贈る電子部品“徹底”活用講座(8):ヒューズ(2) ―― ヒューズの選定方法 (1/3)

今回はヒューズの定格の選定手順について、故障率の考え方などにも触れつつ、その概要を説明する。

[加藤博二(Sifoen),EDN Japan]

 前回説明した通り、ヒューズは安全規格の認定部品です。つまり、多くの国で法律、もしくは同等の規制の下に置かれるものですので常に安全規格の最新版を参照し、優先してください。

 今回はヒューズの定格の選定手順についてその概要を説明します。

ヒューズの選定方法

 ヒューズの定格選定の基本的な流れを表1に示します。

表1:ヒューズの選定手順 (クリックで拡大)
*1:I2tの保護協調とは突入電流通路における各素子のI2t特性をバランスよくそろえることを意味し、ここではヒューズが最初に溶断(破壊)するようにI2t値を設定してサイリスタ(TRIAC)など他の素子を保護することを指します。

 この表1の流れの中には使用上の注意事項やディレーティングに関するいくつかのポイントがあります。

 ③定格電流:前回説明した溶断特性の比較ではIEC形は150%定格で1時間以上は通電でき、一方、UL形は135%定格で1時間以内に溶断します。この点からIEC形は基本的にはUL形に対して15%以上耐量が高いと考えられますので電流の測定誤差を考えてもIEC形ではヒューズの定格値の90%以下、UL形、電安法-B形では70〜75%以下で使用すれば問題ないと考えられます。
 つまり、ヒューズの定格電流は、
  UL形であれば、   ヒューズ定格電流×0.7〜0.75 >最大連続電流
  IEC形であれば、  ヒューズ定格電流×0.9    >最大連続電流
となるように値を選びます。

 上記の定格電流値に温度ディレーティングを反映します。
 高温定格電流=定格電流×(温度ディレーティング率)として再度、の電流ディレーティングを検討します。
 なお、温度ディレーティングには最高周囲温度での実測温度を反映してください。
(温度ディレーティング率はヒューズエレメントの抵抗値温度係数に左右され、シリーズが異なれば軽減率も異なります)

 ⑥動作確認:異常試験でのヒューズ溶断評価は最も異常電流が流れにくい入出力条件で実施してください。また溶断時の最大ピーク電流はヒューズの遮断容量以下であることを確認してください。遮断容量を超える場合はヒューズが破壊する可能性がありますので別途対策が必要です。注1)
(1500APの遮断容量でも230V時では0.2Ω程度ですから500WクラスのSW電源装置に該当します)

 ヒューズクリップにも電流定格があります。クリップの電流定格の60〜70%程度で使用することが目安になりますが自動挿入機対応品では7.5A〜10A程度のモノが多く、最大でも10A程度ですので使用に当たってはヒューズの電流定格より大きいことを確認してください。またクリップの接触圧維持のために、過剰押し込み防止機能やクリップの過剰開口防止機能などの変形防止機構の付いたクリップを使用して下さい。

注1)試験設備の電流供給能力には注意が必要です。発電所からの距離によっては十分な電流供給能力が得られない場合があり、社内試験と試験所での結果が異なる要因になります。街中の住宅地環境では正しいヒューズ溶断試験はできません。

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