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» 2018年02月28日 11時00分 公開

マイコン講座 ESD対策編(2):ESDの発生事例とシステム上の対策 (2/4)

[菅井賢(STマイクロエレクトロニクス),EDN Japan]

高電圧サージがマイコンを破壊するまでの経路

 図2に高電圧サージがマイコンを破壊するまでの経路の例を示す。これは、実際の解析結果から推測した経路である。

図2:マイコン内のESD経路 (クリックで拡大)

【1】汎用IOの直近のダイオードを直接破壊する場合。

【2】5V耐圧端子用過電圧保護回路(以下、過電圧保護回路)まで高電圧サージが届き、過電圧保護回路を破壊する場合。過電圧保護回路は全汎用IOに対して1つしか設けられていないため、端子の破壊が併発していなければ、高電圧サージが進入した端子は特定できない。

【3】高電圧サージが配線に沿ってマイコン内部に入り込み、デジタルないしアナログ回路部を破壊した場合。

 この例では、内部の配線層が破壊していて、その配線層を汎用IO側にたどっていくと、特定ピンを断定できた例である。したがって、過電圧保護回路が動作する前に、高電圧サージが内部の配線に沿ってマイコンの内部まで侵入し、電気的に最も弱い点を破壊したと判断される。

【4】破壊箇所から、汎用IOまでの配線がないのにマイコン内部が破壊していた場合。

 高電圧サージが配線層を飛び越えて、マイコン内部まで至り、電気的に最も弱い点を破壊したと判断できる。この場合、高電圧サージが進入した端子は特定できない。図2ではフラッシュメモリモジュール上に破壊点を記述したが、実際の事例ではフラッシュメモリモジュールの内部、その他のマイコンの内部回路が破壊していたケースがある。

 図3【3】【4】をもう少し詳しく説明する。

図3:放電経路(正極ノイズ)例 (クリックで拡大)

 シリコン基板(N-SUB)は電源と同じ電位で、P-WELLはGNDレベルと同じ電位になっている。この時、メタル配線層に沿って進入してきた正極の高電圧サージは、GNDレベルに引っ張られるため、電気的に最も弱い(絶縁抵抗の最も小さい)メタル層と絶縁層の部分を破壊してP-WELLに抜ける。これにより破壊点ではGNDに電流経路ができ、消費電流またはリーク電流が大きくなる。負極の高電圧サージの場合には、電源に引っ張られるため、メタル層と絶縁層の最も弱い部分で、シリコン基板(N-SUB)へ抜ける。

 マイコン内部の破壊箇所から端子までの配線経路がないのに、破壊モードが明らかにESD破壊の場合もある。正極の高電圧サージは、寄生容量などを経由し、配線層を飛び越えて、内部まで入り込み、GNDレベルに引っ張られることで、電気的に最も弱いメタル層と絶縁層の部分を破壊してP-WELLに抜ける場合がある。

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