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» 2018年05月21日 11時00分 公開

DC-DCコンバーター活用講座(18) データシートの理解(4):DC-DCコンバーターの絶縁と出力リップル (1/4)

今回の記事では、前回に引き続きデータシートを読み取る上で必要なDC-DCコンバーターの諸特性について解説します。

[Steve Roberts(RECOM),EDN Japan]

 今回の記事では、前回に引き続きデータシートを読み取る上で必要なDC-DCコンバーターの絶縁や動的負荷応答、出力リップル/ノイズの特性について解説します。

絶縁電圧

 絶縁型DC-DCコンバーターでは、一次側と二次側はトランス絶縁およびフォトカプラ絶縁によって分離されています。つまり、2つの回路間に直接的な電流経路はないということです。これはガルバニ絶縁と呼ばれています。絶縁電圧は、この分離の特性を表します。テスト用高電圧(DC電圧または交流電圧の二乗平均平方根のいずれか)が規定され、一次側と二次側の間に電圧が印加されている間は、大きな電流が流れることがあってはいけません。

実用的ヒント

 注意:危険な電圧が使われているので、この種のテストには正確な電流制限回路つきの高電圧(HiPot)テスターを使う必要があります。HiPotテストは、ESD保護の作業台では行わないでください。ESD保護の作業台は、表面に電気伝導性を持たせるような処理が施されているからです。HiPotテスターに緊急停止ボタンがあることを必ず確認してください。また、テスターのアース接続が正常なことを確認してください。検査対象物(DUT)は、操作者がうっかり触れてしまう可能性のある、どのような場所からも十分に離してください。テスターには、テスト完了後にテスト電圧を放電する自動放電回路を組み込んでください。メーカーの指示を厳密に守ってください!


 コンバーターがDCガルバニ絶縁されていても、AC絶縁テストを行うとリーク電流が流れるでしょう。AC電流は、トランスのコイル間の容量性カップリングを通って流れたり、絶縁バリアを交差するように配置されたあらゆるEMC抑制コンデンサーを通って流れたりします。AC HiPotテストでは、RMS電圧だけでなく、許容リーク電流も規定する必要があります。標準的な設定限界値は1mAまたは3mAです。これより高いリーク電流はコンバーターの永久破壊につながります。

 ACリーク電流があるために、AC HiPotは同等の定常DC電圧と比べてより大きなストレスを絶縁バリアに与えます。次式が成り立つので、ストレスは周波数と電圧に伴って増加します。

式1:ACリーク電流

実用的ヒント

 このため、定格が1kVdc/1秒のコンバーターは、700Vac/1秒(50Hz信号使用時)でしかテストできません。これは、700VacRMS波形のピーク電圧が980Vであることを考えればもっともであることが分かるでしょう。しかし、周波数を上げるとリーク電流も増加します。100Hzのテスト信号は、50Hzのテスト信号と比べて、2倍のリーク電流を生じます。定格が1kVdc/1秒のコンバーターは、100Hzのテスト波形を使った場合、360Vac/1秒でしかテストできません。ほとんどのメーカーは使用周波数を明らかにしていませんが、幸いHiPotテスト周波数が50Hzであることは業界の標準なので、データシートの絶縁値を比較する際には、50Hzが使われていると思って間違いありません。RECOMでは便利な絶縁電圧比較ツールをウェブで提供しています。


 1秒以上のテストとなると、DC HiPotテストとAC HiPotテストの対応は、それほど単純ではありません。60秒のテストは、部分放電(PD)として知られる現象により、絶縁バリアにかなり大きなストレスを与えます。部分放電は、内部ボイドや不整合が原因で、絶縁材内部の結合パスに印加される高電圧のために瞬間的に破壊を招きます。

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