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» 2006年03月01日 00時00分 公開

工場内にも広がるシリアルネットワーク(1/3 ページ)

システム設計者は、条件の厳しい工業環境でのシステムの信頼性と寿命を向上させるべく、シリアル通信方式に転換している。

[Richard Zarr(米National Semiconductor社),EDN]

 工場フロアの自動制御システムを設計するのは骨の折れる作業だ。暑い、ホコリっぽい、腐食しやすい、ノイズが大きいといった、電子製品にとっては(または人間にとっても)厳しい環境を考慮しなくてはならない。ほとんどのPLC(programmable logic controllers)システムは中央コントローラと周辺I/Oモジュールで構成されている。これらのモジュールには、A-Dコンバータ/D-Aコンバータ、通信モジュール、デジタルI/O、リレーなどがある。これらのモジュールはすべて信号バスを介して中央コントローラと通信しなくてはならない。設計者は、単にデバイス間の相互接続をなくすことで、システムの信頼性を高めることができる。このテクニックにはいくつかの方法があるが、もっとも簡単なのはデータをシリアル化して、接続の数を減らす方法である。いくつかの物理レイヤーとトポロジに加え、バスの実装を容易にするパケット伝送方式が考えられる。昔ののろしであろうと現代のレーザーであろうと、通信するには物理的な媒介物が必要なほか、発信元から宛先に伝播するまでの時間がかかる。ワイヤレス、ケーブル、光ファイバ、音を含めたさまざまな方法を使用できる。これらのメディアのどれを使用しても情報を伝達することはできるが、厳しい環境では使用に適したものとそうでないものがある。

 有線分野の規格には、TTL(transistor-to-transistor logic:トランジスタ・トランジスタ論理回路)、ECL(emitter-coupled logic:エミッタ結合論理回路)、RS232、RS422、RS485、LVDS(low-voltage differential signaling:低電圧差動信号)、イーサネットなどがあり、ネットワークやバックプレーン、バスなどで採用されている。古くからあるTTLでは、グラウンドに対して約5Vの信号が使用され、遅くて非平衡型であるために、グラウンドのノイズが乗りやすい。RS232ではノイズ耐性を強化するためバイポーラの電圧振幅が広くなっているが、電気的ノイズが大きい環境で有効な差動信号を使えない。RS422、RS485、LVDSでは差動信号線を使用して、受信側の2本のペア線でコモンモードノイズを打ち消す。LVDSでは電圧の代わりに電流を使用し、信号振幅を減少させることで伝送速度を上げている。このアプローチをとれば、ケーブル容量をはじめとする配線に関わる多くの問題を解決できる。

 製鋼所のような電気的条件の厳しい環境では、制御システムのすぐそばを大電流が流れることもある。特に、相互接続されている機器間の距離が長い場合には、こうした電流が導線上にノイズを発生させる恐れがある。このノイズを除去する一般的な方法が差動信号の使用である。RS422とRS485は長距離接続には有効ではあるが、ローカルバスの速度が遅くなる。DINレールに取り付けられた機器間を結ぶローカルバスなどにはLVDSの方が適している。また、設計者はバックプレーン内の相互接続方式としてイーサネットを使用し始めている。イーサネットは、広く普及している、多くのプロセッサに採用されている、明確に定義されたMAC(media-access controller)を使用する、ほとんどのOS(operating systems)に対応する標準ドライバがあるといった、いくつかの利点がある。本記事では、高いノイズ耐性を維持すると同時に、100M〜400MHzの速度を実現する方法として、シリアルLVDSに焦点を当てる。

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