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» 2006年04月01日 00時00分 公開

RF-ICフィルタの回路/レイアウト設計を自動合成する (1/2)

RF-ICの設計で単調に繰り返されていたフィルタ設計を、電磁界シミュレータで設計手順を統合して、自動化する。

[Chaghua Wan, Jian-x Zheng(米ZELAND SOFTWARE社),EDN]

 RF-ICフィルタは、ICの性能やサイズ、コストを左右する重要な要素である。従来、RF-ICフィルタの設計には大変時間がかかる3つの手順が必要だった。1つは仕様に基づく集中定数素子回路の合成、次に個々の回路素子のレイアウト合成、3つ目に個々の素子の手作業による組み立てと調整、である。しかし、高速で高精度なEM(electromagnetic:電磁界)シミュレータを利用し、この3つの手順を単一の設計環境に統合することで、RF-ICフィルタの設計を自動化できる。

 ただし、この手法には課題がある。スパイラル・インダクタとMIM(metal-insulator-metal、金属‐絶縁体‐金属)コンデンサのレイアウト合成は、使用するEMシミュレータの速度と精度に依存する。スパイラル・インダクタおよびオーバーレイ・コンデンサの自動組み立て/調整には、相互接続や素子の隔離、入出力配置に関する明確な規則の定義が必要となる。

回路、レイアウト合成の自動化

図1 仕様に基づく集中定数素子フィルタの電気的合成には、ローパスフィルタのプロトタイプの合成と、プロトタイプから所望のフィルタタイプへの変換が必要となる。 図1 仕様に基づく集中定数素子フィルタの電気的合成には、ローパスフィルタのプロトタイプの合成と、プロトタイプから所望のフィルタタイプへの変換が必要となる。 

 まず、仕様に基づいて集中定数素子フィルタを電気的に合成する。ローパスフィルタのプロトタイプを合成し、応答をハイパス、バンドパス、バンドストップのいずれかにするため、そのプロトタイプを所望のフィルタタイプに変換する処理が必要となる(図1)。

 そして、インダクタおよびコンデンサを物理的に合成する。RF-ICのインダクタにはスパイラル型が最適である。ここでは説明を簡潔にするため、方形スパイラルのみを対象とする。フィルタのコンデンサには、MIMコンデンサまたはインターデジタル・コンデンサの2種類が考えられる。自動合成を容易にするため、静電容量の範囲が比較的広いMIMコンデンサを利用する。

図2 回路およびレイアウト自動合成の2つめのステップは、インダクタのシンボルからレイアウトへの変換(a)と、コンデンサのシンボルからレイアウトへの変換(b)からなる。 図2 回路およびレイアウト自動合成の2つめのステップは、インダクタのシンボルからレイアウトへの変換(a)と、コンデンサのシンボルからレイアウトへの変換(b)からなる。  
図3 0.125回りずつ2〜2.875回巻かれたスパイラルについて、巻き方別インダクタ配置の例。 図3 0.125回りずつ2〜2.875回巻かれたスパイラルについて、巻き方別インダクタ配置の例。 

 図2に、電気素子の物理的レイアウトへの変換を示す。

 インダクタの配置は、他のインダクタやコンデンサと、できるだけ狭いチップ面積で接続できるようにする。通常は、入出力の配線と同時にインダクタも配置する。図3は、0.125回りずつ2〜2.875回巻かれたスパイラルの8通りの例を示している。

 最後に、個々の素子をレイアウトどおりに組み立ててフィルタを完成させる。ここでは、隣接する部品間の距離dと、部品から信号線やグラウンド線、接合部までの給電線路の長さlを指定する必要がある。図4(a)にローパスのLC部分、図4(b)にハイパスのLC部分を示す。

 バンドパスまたはバンドストップフィルタに変換するには、ローパスフィルタのプロトタイプから1つの素子を、直列または並列のLとCに置き換える。図5において、直列接続の場合は(a)バンドパスフィルタ、(b)バンドストップフィルタのLC回路となる。一方、並列接続の場合、直列の場合とは逆に(a)バンドストップフィルタ、(b)バンドパスフィルタのLC回路となる。

図4 LC部分は、ローパスの場合(a)とハイパスの場合(b)がある。 図4 LC部分は、ローパスの場合(a)とハイパスの場合(b)がある。  
図5 直列接続のLおよびCの組み合わせ回路は、(a)バンドパス、(b)バンドストップとなる。一方、並列接続では逆に、(a)バンドストップ、(b)バンドパスとなる。 図5 直列接続のLおよびCの組み合わせ回路は、(a)バンドパス、(b)バンドストップとなる。一方、並列接続では逆に、(a)バンドストップ、(b)バンドパスとなる。 
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