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» 2006年11月01日 00時00分 公開

イーサーネットを産業分野で生かす (2/4)

[Michael Jones(米Micrel社),EDN]

VOP

 VOPは、あるケーブルにおける信号の速度を、真空における光の速度(3×108m/s)に対する比で表したものである。VOPの値は、ケーブルの種類やメーカーによって異なる。カテゴリ5のケーブルのVOPは、通常約0.66である。従って、このケーブルを伝播する信号の速度は、0.66×3×108m/s=2×108m/sということになる。

 VOPを用いれば、反射波の伝播遅延時間を測定することにより、故障個所までの距離を算出することができる。カテゴリ5のケーブルであれば、信号の速度が2×108m/sであることから、ケーブル1m当たりの伝播遅延を5nsとすることで、ケーブル長を算出することが可能である(伝播遅延は、信号が往復する時間であることに注意すること)。例えば、図2(b)は、90mのカテゴリ5のケーブルにおける反射波の伝播遅延を表している(開回路)。この場合、故障個所までの距離は次のようにして計算する。

 つまり、伝播遅延を約900nsとすると、故障個所までの距離は約90mとなる。工場に設置済みの配線であれば、VOPによって、±1mの精度で検証が行える。

 なお、ケーブルまたは故障までの距離が10m未満の場合、反射波は元の入力波に重なるかたちで観測される(図2(c))。伝播の往復遅延が入力パルスの周期よりも短い場合、つまり、《入力波形の周期(100ns)》≧《ケーブル長》×5ns/m×2の場合に、このような状況が生じる。

冗長リング構成

 イーサーネットを用いた典型的なネットワーク構成の1つにスター型がある。スター型では、複数のポートを持つスイッチがノード間のリンクを提供する。それとは異なり、通常、産業用ネットワークは冗長リング構成をとる。この構成には、ケーブル配線が容易だという特徴がある。例えば、さまざまなセンサーが配置された製造ラインであれば、各センサーを一極集中型に配線するよりも、隣のセンサー同士をリング状につなぐほうが簡単だ。その際、ケーブルの長さはIEEE仕様に従って100m以下とする。

図3 冗長リング構成の例 図3 冗長リング構成の例 冗長リング構成では、いずれかのリンクが故障した場合に、管理されたリンクを有効にすることでリング構成を回復させることができる。
図4 VALN実装を利用したリング構成 図4 VALN実装を利用したリング構成 VLANを使用すれば、簡単な冗長リング型のネットワークを構成することができる。

 リング型構成では、帯域幅が制限される。しかし、Fast Ethernetなどはデータ転送速度が100Mビット/秒もある。それに比べると、オートメーションや制御で使用されるデータ転送速度は非常に低い。そのため、帯域幅の制約はまず問題とはならない。

 図3に、制御層を備えた冗長リング構成のネットワークの例を示す。「リング」とはいっても、実際にはイーサーネットLAN内に完全なループを作ることは許されない。つまり、リングは必ず切断されている必要がある。さもなければ、システムはループ内でパケットの複製を転送し続けてしまい(無限ループとなる)、直ちにネットワーク効率が低下してしまうからだ。それに対し、「切断」または「管理」されたリンクを利用することで、ネットワークに冗長性を持たせることができる。リング内のいずれかのリンクが故障した場合でも、システムはその管理されたリンクを有効にすることで、リング構造を回復させることが可能になる。

 産業用ネットワークのための標準化されたリング管理手法は存在しない。ただし、スパンニングツリーやラピッドスパンニングツリーのようなプロトコルを用いれば、ネットワークにおけるループを検出し、切断することができる。あるいは、VLAN(バーチャルLAN)のような機能を用いたその他の方法を採用する手もある。

 図4は、VLAN実装を用い、スレーブノードを検出して順序付けを行う方法の例を表している。この例では、マスターノードが各スレーブノード(S1、S2、S3)に招待要求(invite request)を送信し、IDやアドレスといった重要なログ情報を取得する。各スレーブノードのVLAN設定を動的に構成することで、「既知」のノードが隣の「未知」のスレーブノードへと要求をリング内で引き渡していく。そしてこの未知のスレーブノードは、VLAN構成に基づき、受信した要求をプロセッサポートであるポート3へと転送する。

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