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» 2011年06月01日 00時04分 公開

AC-DC電源の設計ポイントスイッチング方式が抱える課題を整理する(4/4 ページ)

[Paul Rako,EDN]
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設計に“魔法”はなし

 AC-DC電源の設計に関する多くの課題は手ごわいものばかりだ。初めてスイッチング方式のAC-DC電源を設計する際には、安全性にかかわる大きな問題にくれぐれも配慮するべきである。また、AC-DC電源の設計に“魔法”など存在せず、既存の設計を参考にすることが有効な手段となる(図6)。電子回路があふれる作業場をうろついて、300Wもの電力を出力する電源を探すのだ。その電源の回路を参考にすることで、300W出力の回路を独自に考案できるかもしれない。スイッチング周波数を上げてみたり、アーキテチャを変えてみたりして、どのような変化が現れるのか調べてみるとよい。遊び心のある実験が、AC-DC電源の設計に必要な直感と経験の会得につながるだろう。


図6 AC-DC電源の例 図6 AC-DC電源の例 軍事システムで使用される電源回路の例を示した。

 高電圧の回路を設計する技術者は、自らを危険にさらすことさえある。彼らは、直観的にはとらえにくい回路の動作を理解することを楽しんでいる。最新の技術についてよく学び、理解を深め、回路の効率を1%でも高めることで、より良いものを世の中に提供することに喜びを感じているのだ。あなた1人で設計に取り組まなければならないわけではない。ICベンダーのアプリケーションエンジニアは、あなたの設計やテストを喜んで支援してくれるだろう。

AC-DC電源のテスト

 AC-DC電源の設計が終わったら、次に行うのはテストである。設計経験が豊富な技術者であれば、AC-DC電源のテストにおいては、常に安全に注意しなければならないことを十分に理解している。そのため、測定器で回路のノードをプローブしている最中には、電流が心臓に伝わることがないように、片方の手をポケットの中に入れておく。また、作業台としては、金属製のものではなく、より安全な木製のものを使用する。木製の作業台上で高電圧のノードに触れても、作業台に接触している人体との間でショートは生じないからだ。

 小さな電源でも、部品を破壊してしまうくらいのエネルギーは蓄えている。そして、開発したプロトタイプには、誤って逆極性で接続されたコンデンサなどが存在していても不思議ではない。従って、設計のトラブルシューティングを行う際には、安全メガネか、フルフェイスのシールドを着用する必要がある。

 電源のテストは、その電源がさらされる可能性のある周囲温度の範囲をすべて網羅して行わなければならない。また、印加されるAC電圧は0Vから始まるとは限らない。ユーザーは、AC電圧が最大値になった瞬間に電源のスイッチを入れたり、コンセントにつないだりするかもしれない。その場合、大きな突入電流が生じる可能性がある。だからと言って、テストの際、いきなり最大値のAC電圧を印加するのは避けたほうがよい。可変ACトランスを使用して、入力電圧を徐々に増加させていくのである。

 電源のテストには、米AMETEK Programmable Power社(California Instruments/Elgarブランド)、米Pacific Power Source社、菊水電子工業などが製品化しているテスト用AC電源を使用するとよい。この種のAC電源は、ユニバーサル入力の試験も行えるよう、周波数と電圧を変化させることができる。

 AC-DC電源について理解するには、できるだけ帯域幅の広い電流プローブを用意することが重要である。技術者の多くは、抵抗回路の動作については容易に把握できる。だが、コンデンサとインダクタから成る回路の動作を直感的に理解するのは難しい。実際、各ノードの電圧だけをオシロスコープで観測していても、何が起きているのかはわからない。ノードの電圧と電流の両方を把握する必要があるのだ。

 電源はサーボシステムである。出力電圧をコントローラICにフィードバックし、各種部品を用いたフィードバックループによって補正を実現するという典型的な制御システムだ。従って、電源には、制御理論の各種原理が当てはまる。また、ほかのサーボシステムと同様に、設計したAC-DC電源が、仕様として規定されたあらゆる入力電圧、負荷、温度に対して安定していることを確認しなければならない。

 電源の安定性を徹底的にテストするには、ネットワークアナライザを使用する必要がある。ネットワークアナライザを使えば、電源の制御ループのボード線図(周波数に対するゲインと位相の特性グラフ)を取得することができる。通常、電源技術者は、30〜60度の位相マージンを確保しようと考える。米 Ridley Engineering社や米Venable Instruments社らは、電源専用のネットワークアナライザを供給している。または、米Agilent Technologies社の「HP 3577」のような従来型のネットワークアナライザに、絶縁トランスを組み合わせる方法も利用できる。この方法を意図して、オーストリアOMICRON Electronics/OMICRON Lab社は、ネットワークアナライザとインジェクショントランス「B-WIT-100」を製品化している。

 EMIについては、AC電源の配線における伝導ノイズの測定には菊水電子工業の高調波/フリッカアナライザなどが使用できる。一方、放射ノイズの測定に利用可能な測定器は多数存在する。


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