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» 2021年05月10日 10時00分 公開

静電容量タッチキーコントローラーの原理Q&Aで学ぶマイコン講座(61)(1/3 ページ)

マイコンユーザーのさまざまな疑問に対し、マイコンメーカーのエンジニアがお答えしていく本連載。61回目は、初級者の方からよく質問される「静電容量タッチキーコントローラーの原理」についてです。

[STマイクロエレクトロニクス,EDN Japan]

過去の質問一覧はこちら

 素朴な疑問から技術トラブルなどマイコンユーザーのあらゆる悩みに対し、マイコンメーカーのエンジニアが回答していく連載「Q&Aで学ぶマイコン講座」。

 今回は、初級者から多く寄せられる質問です。

 マイコンのカタログやマニュアルに「静電容量タッチキーコントローラー」と書かれています。この機能は「タッチパネル」を実現する機能だと思いますが、内部構造はどのようになっていているのでしょうか?そして、どのような原理でタッチパネルを制御するのでしょうか?

 一般に使われているタッチパネルには、抵抗膜方式と静電容量方式の2つの種類があります。今回は「静電容量タッチキーコントローラー」についての質問なので、静電容量方式について解説します。抵抗膜方式についてはEDN Japanの記事「タッチパネルの原理」を参照してください。

 本記事では、STマイクロエレクトロニクス(以下ST)の汎用32ビットマイクロコントローラー(マイコン)STM32F0シリーズ*1)、STM32L0シリーズ*2)、STM32L1シリーズ*3)に搭載されている「静電容量タッチキーコントローラー」を例に挙げて説明します。

 静電容量方式のタッチパネルには、電極(以下、タッチキー)が設けられ、タッチキーの持つ寄生容量を利用して、指先がタッチパネルに触れたこと(以下、タッチ)を検知します。

 人の指先には寄生容量(Ch)があります。指先がタッチキーに触れると、タッチキーが持つ寄生容量(Cx)にChが加わり、見かけ上、タッチキーの静電容量が大きくなります。静電容量タッチキーコントローラーでは、この現象を利用して、タッチを検知します。

 マイコンは、タッチを検知するために2つのピン(Pin1とPin2)を使います。それぞれPin1にタッチキーを、Pin2にコンデンサーを接続します。

図1:静電容量タッチキーコントローラーの基本原理

【準備操作】
 マイコンは、起動直後(指先がタッチキーに触る前)に、次のような準備操作を行います。

  1. Pin1をハイ出力にしてCxを充電し、同時にタイマーをスタートさせる
  2. Cxにたまった電荷をマイコン内部のアナログスイッチを使ってPin2経由でコンデンサー(Cs)に移す
  3. Csに電荷が移るとPin2の電位が移動された電荷分だけ上がる
  4. この動作を繰り返すと、Csの電荷が徐々に増加して、Pin2の電位も徐々に上がっていく
  5. Pin2は、内部に比較器を持っていて、常にしきい値(Vth)と比較する
  6. Pin2の電位がVthに達したらタイマーを止める。この時のタイマーの値を記憶する

【タッチ検知】
 指先がタッチキーに触れると、CxにChが加わって、Pin1から見た静電容量がCx+Chになります。この状態で前述「1」と「2」の操作を行うと、Csにたまる電荷がChの分だけ増えます。すると、「3」におけるPin2の電位の増加分が大きくなります。この状態で「4」〜「6」を続けて行うと、Pin2の電位がVthに達する時間(以下、Csの充電時間)が短くなります。この時間の差分を検出することにより、タッチを検知します。

*1)STM32F0シリーズ
*2)STM32L0シリーズ
*3)STM32L1シリーズ

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