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» 2013年07月16日 12時30分 UPDATE

「超入門」いまさら聞けない半導体技術:パワー半導体の基礎知識 (1/2)

半導体分野の中でも、地味な存在と思われがちなパワー半導体。「パワー半導体って聞いたことはあるけど、よく分からない」という方も多いはず。でも、実は世の中の省エネ化の鍵を握る重要なデバイスなのです。パワー半導体の役割や働き、その種類などパワー半導体の「基礎の基礎」を紹介します。

[竹本達哉,EDN Japan]
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 半導体デバイスと聞くと、CPUやメモリのイメージが強い。そのため、パワー半導体と聞いても、何となくCPUやメモリと似たデバイスと思いがちだが、同じ半導体材料を使用するものの、その役割は大きく異なる。


パワー半導体とは「筋肉」

 人間の体に例えるならCPUやメモリは「頭脳」であり、パワー半導体は「筋肉」に当たる。ちなみに、目や耳、口などがセンサーやスピーカー、マイクなどといえる。

 CPUやメモリと大きく役割の異なるパワー半導体は、他にもいろいろな違いがある。

 CPUやメモリといったIC(集積回路)は、小さな電力で動作する。一方で、パワー半導体は小さな電力から大きな電力を扱う。大きなモーターを動かすための電力を供給する場合もあれば、CPUやメモリを動かすための小さな電力を供給する場合もある。そのため、パワー半導体製品の大きさは、消しゴムよりも小さなサイズから、弁当箱を超えるようなサイズまでいろいろある。逆にICは、大きくても50mm角程度と比較的小さい。

 主眼を置く応用用途も異なる。ICの主力用途はPCやスマートフォン、テレビなど民生機器だ。産業機器などにもICはもちろん使用されるが、最も最先端の技術を駆使した「花形」のデバイスは、コンピュータ、民生機器の用途に投入される。パワー半導体も、コンピュータや民生機器にも使用されるが、パワー半導体の「花形」は、より大きな力強さが求められる産業機器分野に投入されるため、パワー半導体分野は産業機器分野に主眼が置かれやすい。

大量生産重視のIC、すり合わせ重視のパワー半導体

 役割や意識する応用分野の違いから、その開発/製造方法も大きく異なる。

 ICは、年間数百万台というような大量生産を行い価格競争の激しい民生機器市場がターゲットであるため、できるだけ安く、大量にICを生産しようとする動きが強い。そのため、デバイスを作る際のベースであるシリコンウエハーも直径12インチ(300mm)サイズのものを使用し、1枚のウエハーでより多くのデバイスを作ろうとする。加えて、たくさんの機能を小さなチップの中に詰め込もうとする(高集積化)ため、シリコンウエハーをより微細に加工しようという動きが強い。そのため、昨今の最先端のICでは、最小28nmという極めて小さな加工精度(デザインルール)でデバイスを作り込む。

 一方のパワー半導体は、主眼を置く産業機器分野は少量多品種生産を行う分野であり、多くの種類の機器やシステムにフレキシブルに最適化する「すり合わせ」で製品開発される。そのため、ICほど大量生産や高集積化に熱心ではなく、比較的小さなシリコンウエハーを使用し、デザインルールの微細化も緩やかに進む。

 パワー半導体とICはどちらも、主にシリコンを材料にして製造されるが、その構造も異なる。ICは、シリコンウエハーの片面の表面だけを使用する。比較的小さな電流がシリコンの表面を横方向に素早く駆け巡るイメージだ。パワー半導体は、大きな電力を扱おうとするため、ウエハーの表面から底面まで全てを使う。電流の流れ方も、ウエハーの下から上へ縦方向にドンと貫く感じだ。

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