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» 2017年05月16日 11時00分 UPDATE

Wired, Weird:アイデア工具を使ったハンダ抜きテクニック (1/3)

今回は、基板にダメージを与えずにハンダ抜き(ハンダ外し)を行うためのテクニックを紹介する。偶然見つけたアイデアツールなど、筆者が日頃の修理業務で使っているハンダ抜き工具も披露しよう。

[山平豊(NSS九州),EDN Japan]

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高価なハンダ吸引ワイヤを使わずに、ハンダに穴を空ける

 基板の部品穴(ランド)のハンダ抜き(ハンダ外し)は、基板の回路変更や修理での部品交換には必須だ。読者はこの作業に、ハンダごてとハンダ吸引ワイヤを使用していると思う。ハンダ吸引ワイヤは便利だが少し高価だ。また、ワイヤに浸み込んだハンダは廃棄することになり地球環境にはあまりよくない。元々、ランドに部品を取り付ける穴さえ確保できればハンダを破棄する必要はない。今回は安価で簡単なハンダの穴抜き方法を紹介する。これはスルーホールのハンダが溶けたときにスルーホールに細い棒を差し込んで穴を確保する方法だ。実例の写真を図1に示す。

図1:スルーホールのハンダを溶かし、細い棒を差し込み穴を確保する

 図1では3つの細い棒を使用しているが、左下は竹製のようじ、中央下は一般的な木製ようじだ。そして、右上は今回の主役になる“魔法のようじ”だ。竹製ようじは硬いので折れやすく、基板のハンダ抜きには使いにくい。木製ようじは柔らかく安価なのでお勧めだが、先端が柔らかいのでようじを押し込む位置が穴位置からずれると先端が折れてしまう。「柔らかいが先端だけは硬いようじはないものか」と常々、思ってきた中で“魔法のようじ”にたどりついたのだ。

ランドに高熱を加えないテクニック

 安価なハンダ抜きの説明をする前に筆者と基板との関わりを説明しよう。40年以上前になるが筆者が大学を卒業して、初めての仕事は半官半民向けの量産製品の設計業務だった。当時はコストダウンのため、紙エポキシの材料を多用していた。製品の試作では100枚の基板を製造し、設計不良があった場合は設計者自身が手直しし、製品を製造の面からも理解させるという部門の方針だった。

 紙エポキシの基板はもちろん片面基板だ。片面基板はハンダごてで過熱するとランドがすぐに剥げてしまう。このため、ランドに高熱を加えないテクニックが必要だった。基板の変更作業時には、できるだけパターンを過熱しないように短時間で作業していた。片面基板のランドのハンダ抜きはパターンの熱量が少ないので比較的やさしいが、複数回作業するとランドが剥げてしまう。この経験は今の修理業務にかなり役立っている。

 それから数年後に、ガラスエポキシ材を使ったスルーホール基板が普及してきた。スルーホール基板は熱には強いがパターンの熱量が大きくハンダが抜けにくい。特にIC交換の作業ではランドを過熱しないような工夫が重要だった。例えばDIP ICを交換するときは、リードをニッパーで部品面から切り、ハンダごてでスルーホールのハンダを溶かしながらリードを抜き、その後にランドのハンダを抜くことで、ランドの熱ダメージを小さくするように作業していた。

 現在の修理では電動吸引ポンプ付きのハンダごてを使用しているがこて部分の熱量が大きいので、できるだけ短時間でハンダ抜きの作業するように配慮している。

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