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» 2012年07月03日 09時30分 公開

4Gの時代はもう来たのか、モバイルで1Gビット/秒実現へ無線通信技術(2/4 ページ)

[Janine Love,EDN]

IMT-Advanced実現の前にまずLTE-Advanced

 3GPP(Third Generation Partnership Project)は1998年に設立され、最新世代のモバイル標準規格を満足する仕様の作成に向け、世界的な活動を開始した団体だ。3GPPがIMT-Advanced要求に対処するために導入したのがLTE-Aだ。LTE-Aは、当初は3GPP仕様のリリース10の構成要素であり、モバイル開発者にとっての新たな目標となった。

 米Synopsysでシステムレベルソリューション部門のプロダクトマーケティング担当シニアマネジャーを務めるMarkus Willems氏は、「LTE-Aが他の提案方式に比べて有利な点は、主にLTEリリース8との後方互換性を有することだ」と述べ、「LTE-Aは“革新(revolution)版”というよりは、改良(evolution)版なので、広範囲な利用が期待できる」と続けた。

 3GPP技術ファミリの代表的な無線業界団体である4G Americasの代表を務めるChris Pearson氏によれば、2013年には幾つかの通信事業者がLTE-Aを展開しそうだ。同氏はまた、それまでは、現状著しく進展しているHSPA+とLTEによって加入者向け高速モバイルを提供していくと付け加えた。2012年初頭の時点で、HSPA+は86カ国の173通信事業者が21〜42Mbpsのピーク速度で運用中だ。同時点でLTEは、25カ国の39通信事業者が商用展開しており、今後数年間で250以上の展開が予定されている(図1)。

図1 通信規格とデータ転送速度 無線通信の新たな標準規格が登場するたびに、伝送速度が高まり続けている。出典:4G Americas

 Pearson氏の考えでは、LTE-Aを実現する主要なハードルは技術的要素ではない。政策だ。だが、急ぐ必要がある。同氏は、モバイルブロードバンド分野は非常に高い速度で成長しつつあり、ユーザーの利用するデータ量が膨大な規模になりつつあることも指摘する(図2)。「全米の州政府が強い関心を寄せ、優先すべきことは、世界的に見て調和のとれた周波数帯域の配分について立案し、帯域を確保して割り当て、競売に掛けるという施策を速やかに実施することだ」と同氏は述べ、「3GPP標準規格はその進展につれて周波数利用効率を更に改善するだろう。しかし、現状のモバイルデータ量の増加率から見れば、世界中でより多くの周波数リソースが必要なのだ」と続けた。

図2 モバイル端末の進歩とトラフィックの爆発 2000年のトラフィックは、実効速度50kbpsのGPRS(General Packet Radio Service)とRTT(Radio Transmission Technology)によって占められていた(図左)。2010年までに5億台のスマートフォンが使用されるようになり、トラフィックは5〜7MbpsのHSPA+とEVDOに移った(図中央)。2020年までには、トラフィックは1GbpsのLTE-Aになり(図右)、40億台の新型スマートフォンや100億台のスマート端末が使われ、数百万に達するアプリケーションやビデオベース、クラウドベースのサービスが提供されるだろう。出典:4G Americas

挑戦すべき課題は2つある

 IMT-Advancedが示した性能を実現するには、難しい技術的な課題が残っている。Huawei Technologies USAでモバイルブロードバンド担当バイスプレジデントを務めるMadan Jagernauth氏によれば、技術課題の1つはスマートフォンに複数のアンテナを搭載することだ。消費者の大画面へのニーズに対応して機器が大型化の方向に進んでいるので、この課題の解決は比較的容易になりつつある。

 しかし、リンクの端末側にMIMOを導入する場合には、機器サイズ(フォームファクタ)だけが問題というわけではない。Jagernauth氏の予測では、メーカーは電池稼働できる時間が短くなるため、スマートフォンには4×4伝送を採用しないだろう。

 同氏が期待するのは仮想MIMO方式の採用だ。この方式では、2人の加入者が同じタイムスロットで同時に送信し、これを基地局がデコードする。このアプローチを採用すれば、ネットワークの利用効率が向上する。なお、Huaweiは基幹用装置とともに多数のAndroid搭載機器を含む端末用機器などを供給している。

 チップデザインについて言えば、主要な課題はRF部分にあるとSynopsysのWillems氏は語る。「キーコンセプトであるキャリアアグリゲーションでは複数のレシーバの並列動作が必要だ」と同氏は言い、続けて「サイズ、電力、性能のバランスをとることが主要な挑戦的課題になる」と指摘する。Synopsysは、LTE-Aライブラリを含んだシミュレーション環境を提供しており、その利用により3GPP標準規格の規定する全テスト項目がシミュレーション可能、つまりライブラリが実行可能な仕様書として働く。この製品については現在、Rohde & Schwarzのテスト機器を使用して実証テストが実施されているところだ。

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