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» 2021年03月10日 10時00分 公開

マイコン製品出荷時に実施されているテスト内容ハイレベルマイコン講座【出荷テスト編】(2)(1/5 ページ)

前回に引き続き、マイコン製品の出荷時にどのようなテストが行われているかを詳しく解説する。今回は、前回概要を解説した以下のテストについて、具体的な方法と詳細について紹介する。

[STマイクロエレクトロニクス,EDN Japan]

 前回に引き続き、マイコン製品の出荷時にどのようなテストが行われているかを詳しく解説する。

 今回は、前回概要を解説した以下のテストについて、具体的な方法と詳細について紹介する。

  1. 導通テスト
  2. DCテスト
  3. ファンクションテスト
  4. ACテスト
  5. 電源関連のテスト
  6. 内蔵メモリのテスト
  7. アナログ特性テスト

 図1に前回解説した故障モードと、今回解説する実際のテストの対応を示す。

図1:故障モデルと実際のテストの対応

 前回も述べたが、マイコンの出荷テストの具体的な項目や内容はマイコンメーカーの極秘情報なので、公開することができない。また、マイコンメーカーやマイコンごとにさまざまな手法や専門用語が使われているため、用語を統一して一概に説明することもできない。

 そこで、本記事では前回と同じように、一般的なテスト項目と内容を分かりやすく説明する。専門用語についても、LSIテスター(半導体試験装置)、異物、テストパターンなど、理解しやすい言葉を選んで解説する。


 テスト内容の解説に入る前に、マイコンに組み込まれているテスト回路について簡単に説明する。ほとんどのマイコンはテストモードを持っており、その設定方法は各マイコンによって異なり、設計部外秘である。

 テストモードに入ると、外部からプログラムを入力したり、マイコンの内部状態を出力したりできる。外部からプログラムを入力できるため、マイコンの周辺機能のレジスタ設定や低消費電力モード*1)も外部から設定できる。また、マイコン内部のバスや所定の回路の論理値などを端子に出力することができるため、簡単にマイコンの内部状態を知ることもできる。

 具体的には、ファンクションテストでテストパターンを入力したり、内部状態を期待値と比較したりする場合に用いられる。また、DC特性テストで汎用I/OのMOSの状態を設定する場合にも用いられる。低消費電力モードの消費電流を測定する際には必須の機能だ。

*1)参考記事:Q&Aで学ぶマイコン講座(28):いろいろなマイコンの低消費電力モードを理解する

1.導通テスト

 出荷テストの最初の項目は、パッケージの端子と内部のマイコンが電気的に接続されているかどうかのチェックだ。電気的に接続されていることが確認できなければ、いくら端子に信号を入力しても内部の回路に届かず、マイコンから出力される信号も確認できない。

 ウエハーテスト時には、プローブ(髪の毛よりもはるかに細い針)とボンディングPADが電気的に接続されているかどうかのチェックになる。

 マイコンの端子のすぐ内側には、保護ダイオードが内蔵されている。STマイクロエレクトロニクス(以下、ST)の汎用8ビットマイコンSTM8AFシリーズのリファレンスマニュアル*2)から汎用I/Oのブロック図を一部抜粋し図2に示す。保護ダイオードはVDD(電源)側とVSS(グランド)側にそれぞれ内蔵されており、電源側のダイオードのカソードはVDDにつながっている。そこで、VDDを0Vに固定し、端子から一定電流を流し込む。するとダイオードに0.6〜0.7Vの順方向電圧降下が発生する。これを検知すれば、端子と内部のマイコンの接続が正常であることを確認できる。また、順方向電圧降下の値が設計値と合致すれば、保護ダイオードも正常であることが確認できる。VSS側のダイオードも同じように順方向電圧降下を確認することで、導通状態と保護ダイオードが正常であることを確認できる。

図2:導通テスト

*2)参考リンク:汎用8ビットマイコンSTM8AFシリーズのリファレンスマニュアル

コラム:ISVMとVSIM

 所定の電流を流して,その時に発生する電圧を測定する方法をISVM(電流印加電圧測定)と呼ぶ。また、所定の電圧を印加して,その時に流れる電流を測定する方法をVSIM(電圧印加電流測定)と呼ぶ。導通テストや、後述する汎用I/Oの出力特性テストではISVMを用いる。

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